死せる詩人

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イビル冒険者ダンジョン顛末記

僕は普段シナリオを作るとき、原則的に愚かなことしか考えていない。放っておいても可笑しなセッションになる面白人間ではないので、笑いを取るのは至難の業だからだ。ことコンベンションでマスタをするとあればその度合いはいよいよ強くなる。 ある時、僕はD&D3Eのシナリオで「PCは全員イビルでやったらどうだろう」と考えた。結局シナリオ自体はダンジョンものなのでアライメントがイビルという程度では土台がぐらついたりはしない。ということで決定。今回のネタは「PCはイビル」。 さて、そうと決まればシナリオなんて簡単にできる。サクサクと用意されたツールをつかって機械的にダンジョンを作り当日に望んだ。うろ覚えだが当日のパーティ構成はこんな感じだったと思う。・オーク-バーバリアン【ケオティック・イビル】・ホブゴブリン-ファイター【ローフル・イビル】・ゴブリン-ローグ【ニュートラル・イビル】・コボルト-ソーサラー【ローフル・イビル】・ハグベア-クレリック【ケオティック・イビル】※NPC でセッション中はいろいろありダンジョンの最後へ。ミッションの目的は《善なる冒険者》に奪われた部族の宝を取り戻すことだった。最後の部屋に待ちかまえていたボスは《善なる冒険者》のうち二人、ウィザードとパラディンだった。ウィザードの方は結構ショボイ能力なのだが、パラディンは滅茶苦茶強くしかも戦闘が始まる前に正論で諭して来るという《善》っぷり。曰く、「この宝は元々は人間の村が奉じていた宝で、それを君達が奪った物である。故に私達が行なったのは略奪でなく、奪還だ」 全くもって太刀打ちできない完璧な正論である。証拠もあった。そんなときコボルトのPCがオークとホブゴブリンの影からコソコソとこう言い放った。「良いか、良く聞け。こういう金言がある『俺の物は俺の物、お前の物は俺の物』。分かったら死ね」 完全無欠のジャイアニズム宣言により戦闘が開始された。さっきも言ったがパラディンは無茶苦茶強い。ギッタバッタとなぎ倒されていくイビルPC(よく考えてみるといつもとおなじ光景だ)、途中ウィザードを倒しパラディンのHPの殆どを削るも、ついにはコボルトとゴブリンだけになってしまった。ゴブリンはコソコソと隠れてしまい、コボルトのPCが狙われることになる。 そしてコボルトのPCにパラディンの凶刃が今まさに振り下ろされんとしたその時、死角に隠れていたゴブリンがパラディンの背後を取りローグ自慢の《急所攻撃》でズンバラリン。かくして世の善の種は刈り取られ、邪悪の勢力はいや増すのだった。 ■ダンジョンズ&ドラゴンズ情報倉庫 ■死せる詩人さんの「Dead Poet Society」

By |2014-03-05T23:10:06+09:005月 6th, 2013|Categories: 2002年12月号|Tags: , |イビル冒険者ダンジョン顛末記 はコメントを受け付けていません

当世亜米利加ファッション事情

 D&D3Eの日本語版発売も差し迫った今日この頃。日本語版を購入しこれから3Eをプレイしていきたいと考えている人達に、海の向こうの亜米利加で現在大流行している冒険者のファッションについてお教えしておきたい。 嘘でも誇張でも死せる詩人の脳内妄想でも無く事実である……多分。疑うべなって、信じる物は救われるのだ。 まず武器だが、比較的メジャーで受けの良い武器であるロングソード、グレートソード、レイピアなどを使うのはタブーである。とあるサプリメントで紹介された目も眩むほど素晴らしい武器強化呪文のお陰でこういった金属製の武器は流行に取り残されることになる。現在最もホットな武器はグレートクラブ、クラブ、クォータースタッフ、ヌンチャクなどの木製のものだ。 そして、この木製武器に《とあるサプリメントで紹介された目も眩むほど素晴らしい武器強化呪文》をかける。更に良いのは両手武器を選ぶ事だ。 次に鎧だが、一時期大流行したスピードアーマーというのはファッション業界の大御所の鶴の一声で完全に廃れてしまったため、現在では着用者は一部の地方に名残を残すのみである。そんななか発売以来根強い人気を誇るチェイン・シャツという鎧がお勧めだ。そしてこれに、《さる東洋系サプリメントで追加された偉大な部分鎧》二つを追加するのが亜米利加におけるファッションの聖地ミルウォータの若者に大流行だ。もし魔法の属性を付けたいならば《とあるサプリメントで紹介された目も眩むほど素晴らしい幾つかの属性》を選ぶと良い。つまりイセリアルアーマーやエナジードレインアーマーといったものだ。 さて、次に着用する物ではなく本人の姿だが人間やエルフ、ドワーフなどの劣等種族の格好をしているのは戦前を生きたロートル連中と言われても仕方がない。もし貴方が恥ずかしむことなくダンジョン空間で肩をそびやかせて歩きたいならば《ポリモーフアザー》や《ポリモーフセルフ》という呪文でハグ(山姥)やトロール、ストーンジャイアント、フィアボルグなどに変身すべきである。もし自分がウィザードやソーサラーならばピクシーなどでも良い。 これが現在亜米利加の若者の間を席巻している最新の冒険ファッションである。皆さんも日本語版が発売しプレイした暁には是非一度試して頂きたい。《とあるサプリメントで紹介された目も眩むほど素晴らしい武器強化呪文》 Defenders of the Faithというサプリメントで追加されたSpikeという呪文。木製武器に棘をはやして強化する。《さる東洋系サプリメントで追加された偉大な部分鎧》 Oriental Adventureというサプリメントで追加されたDastanaとChahar-ainaという部分鎧。 ■ダンジョンズ&ドラゴンズ情報倉庫■死せる詩人さんの「Dead Poet Society」

By |2014-03-05T23:10:57+09:005月 5th, 2013|Categories: 2002年12月号|Tags: , |当世亜米利加ファッション事情 はコメントを受け付けていません