シナリオ「日シナの理緒ちゃん」5

1.
　病室(全編通して、背景は省略ぎみに)。画面中央のベッドに理緒が臥せている。ベッドを挟んで右側に普段着の男、反対側にゆったりとした服の女性――

　　聡「この病院の外科医、むちゃくちゃだって評判だよお」
　理緒「妙なこと言わないで」
まどか「そうなんですか？　私も難しい手術をしないといけなくて……」

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2.
　まどかが画面手前にくる。

　聡「今からでも僕の所に転院しない？」

　理緒、聡を右手で制して、まどかの方を向く。

　理緒「どうしたの？」
まどか「もし手術に失敗したら、理緒ちゃんと二度と会えないかも知れないと思うと、ちょっとね」

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3.
　　聡「誰？」
　理緒「ここに来て知りあった人。……心配しないで。手術が終わったら、また一緒にTRPGしようよ」
まどか「遊べるかな……理緒ちゃんみたいに上手に」

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4.
　理緒の手術室への移送が始まる。聡とまどかが付き添ってゆく。

　理緒「TRPGが上手になりたいなら、60年の実績がある日シナのマスタリング講座がお勧めよ」
まどか「日シナ？」
　理緒「マスタリングにかけては超一流の先生方が、親切ていねいに指導してくださるわ」

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5.
　理緒「バインダー式で扱いやすいテキストと、実用新案のマスタリング練習機を活用すれば、全然経験が無くたって大丈夫」

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6.
　手術室の直前。

　理緒「1日20分の練習を続けるだけで、シナリオ検定にも楽々合格。シナリオ1級の合格者の9割以上が、日シナの出身なんですって」
まどか「うん、私マスタリング講座受けてみる」
　理緒「約束ね」

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7.
　手術室内。

　理緒「まどかちゃんの手術、うまくいくといいな」

　準備の整った外科医が、理緒の傍らに立つ。

まどか「ご心配には及びません」

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8.
　怪訝そうな理緒と、手術着姿のまどかが見つめあう。

　理緒「あれ？」
まどか「ずいぶん泣き事も言っちゃったけど、お陰で気が晴れたわ。安心して任せてね」

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9.
　理緒「泣き事って『手術に失敗したら、二度と会えない』ってのが？」
まどか「忘れて」
　理緒「……むちゃくちゃだ」