2003年06月号

あなたがた、やりすぎです●いん ざ だーくねす

特集: あなたがた、やりすぎです
筆者: 蒼

 また、血沸き肉踊るファンタジーな世界での話。



 いと深き森の一角。
 木々のざわめき、そして鳥の鳴き声が遠くに聞こえる静かな場。
 武器を手に息を潜める男たち。
(もうすぐだ、あとすこし……っ!?)
 静けさを破る、怒号、剣戟、そして爆音。

 ふたたび森が静けさを取り戻した時、身をひそめていた男たちはみな、物言わぬ物体と化していた。
 そこに冒険者風の男たちが必死に介抱しようと駆け寄る。
(無駄とは判っているが)

「ええいっ、まだ息が残ってるヤツはいないかっ。せめて何か言いのこせっ!」
「冷凍魔法の直撃で、胸砕け散った人が息してたらホラーね」
「しかし、コイツ等は何者で、我等は何故襲われねばならん?」
「さぁー?」

教訓。やっぱ、やりすぎは良くない。




〇CASE:0.魔法使い狙撃

 キャンペーンのはじまりは、郊外で妙な儀式を行っている連中がいるとのことだった。
 儀式は夜に行われているようなので、ひとまず日中に偵察することにしたが……。

「人が飛んでいるわね、魔法使いかしら?」
「どうする? って、いきなり攻撃魔法かっ」
「コレくらいじゃ死なないでしょ。距離遠いし……ん、当たった」

…………

「確かに。魔法では死ななかったが」
「魔法で空飛んでるんだから、意識無くなったら墜落するわねえ」

 動かなくなった魔法使いを前にとりあえず思案するも、良い考えは浮かばず。

「とりあえず、持っているものでも。お、ロッドか」
「紋章みたいなものが刻まれているわね……これはタコ?」

 なんとなく話が進んだような気がしたので、ひとまず街に戻ることに。


〇CASE:1.子馬亭爆破

 まずは落ちつける場所でということで、宿の部屋で作戦会議。
 とはいえ、手がかりはロッドだけなので、ひとまず魔法使い二人掛りで調べてみることに。

「召喚系の魔力? これだけ強い魔力なら門を作り出せるかも……」
「ふむむ。この古代文字はなんとか読める。△〇×……」
「なにしてるの! ロッド持ったままでっ!」
「あ、ロッドから出た光からタコの触手のよーなのが」
「遅かった……」

 念を入れて二人で調べたのが災い。
 一人は成功したものの、もう一人は大失敗して魔力が発動。
 慌てて戦士がでてきた怪物に切りかかるものの……

「くっ……なかなか手強い」
「ありゃ、また光の中からタコが」
「ええい、責任者。どーにかしなさいよ」
「えーと。このロッドが、原因なわけで。ロッドをどうにかすれば納まる?」
「うっ。麻痺毒かっ。スマンうごけん」
「端を握って、膝に向かってー、てやっ!」
「あ、魔力篭ったアイテムをそんな無造作に……」

ぱきょ。

案外、ロッドは簡単に折れた。召喚された怪物も消える。 しかし、それと同時に魔力が暴走。

ちゅどーん。


 幸いにも爆心地にいた魔法使いの息は残っていた。
 莫大な治療費と、宿屋の修理費に泣くはめになったが。


〇CASE:2.路上転落死

 手がかりのロッドを破壊してしまったため、仕方なく刻まれていた紋章について調べることに。
 そうして街を歩いていると、怪しげな風体の連中が因縁をつけてきたので、いそいそと人気のないほうへと急ぐ一行。

「なにをコソコソ調べまわってやがるんだァコラ!?」
「そうだねえ。喋るのと動かなくなるのとどっちがいいかな?」
「何ィ? ごちゃごちゃ言ってねえで、さっさと答えねえと殺ぞ!?」
「では、とりあえず一人目」

 使ったのは、人ひとりを数十メートル移動させる魔法。
 どこに飛ばすかは任意で決められる。
 たとえば、真上とか。
 そして、移動させるだけの魔法なので、移動が終ったら……

めきょ。

「動かなくなったか。さて喋りたい人は?」
「いやっ、俺達はコイツにそそのかされて……」
「ぬあっ。しまった首謀者をやっちまった」
「通りの向こうが騒がしいわね。どうもこっちに来てるみたい」
「わざわざ人気のない通りを選んだのに、何故っ!?」
「空に人が飛んでいったら目立つだろ。悲鳴付きだったし」
「……逃げよか」

 全力で逃げた。


〇CASE:3.狩人集団凍死

 自警団に追われたりしつつも情報をあつめ、紋章を森の奥でみたという話を頼りに行ってみることに。
 しかし、奥へ進んでいるうちに、なにやら監視されているような気が……

「どれ、偵察してみるか」
「飛行の魔法? 撃たれて墜落するのがオチよ」
「ふふん。幻影の魔法を併用するからOKだっ」
「じゃ、さっさといってらっしゃい」

 偵察は無事終り、その結果。
 狩人風の格好をしてたり、魔法使いらしき人々が数十人。
 距離は数百メートル先で、一気につっきるには森が邪魔。

「偵察した時みたいに、飛行の魔法でこっそり近づいて広範囲魔法で一撃とか?」
「攻撃の魔法詠唱の瞬間に、幻影の魔法が切れるから無理」
「前に人を移動される魔法つかってたよな。あれってどこまでいける?」
「ん、拡大すれば数百メールぐらい……そうか」
「わたしが攻撃魔法を発動寸前まで唱えておく」
「俺が、射程範囲まで飛ばす」
「きまりだ」

 皆、笑みを浮かべていた。とても……人の悪そうな。


〇CASE:4.邪神教団消滅

 待伏せていた敵を撃破し、先に進む一行。
 謎はまったく解けていない。
 が、撃破した敵がもっていた地図をしらべ、儀式が行われる場所をつきとめることができた。
 そこに行けば敵の目的が……

「わかるほど待つ必要はないわね」
「どうして?」
「どうせロクでもないものでも呼び出してるのよ」

 物騒な会話をしつつ、目的地へ。
 こっそり覗ってみると、魔方陣に供物、祈りをささげる人々。
 彼等が掲げている紋章には見覚えがある。

「やっぱりタコの親玉呼び出す気ね」
「しかし、今突っ込んでも多勢に無勢だろう」
「先に数を減らせば……」

 同時にニヤリと笑う。

「じゃあ、先制の一撃を」
「この前と同じように」
「くらわすか」

 魔方陣が壊れて、炎の悪魔が呼び出されたり、それを開きにしたりと想定外のことは幾つかあったが、なんとか敵を全滅した。

「……で、コイツ等なによ?」
「死体に聞けば?」


 そして、真相は闇の中。


※このお話はフィクションです。
※著者によって、さまざまな誇張、追加、編集がおこなわれています。んな上手くいかねえって。
※こんなことばかりしている訳ではありません。が、やってることが多いのは事実かもしれない。


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