2003年10月号

オンラインセッションに関するメモ

特集: 単発記事
筆者: Log

☆会話のルール☆

 まず、会話のルールを決めましょう。
 GMとしては発言が「PLによるもの」か「PCによるもの」かが明確になっていないと処理が困難になります。それと話しかける相手を明示していないと、話しかけられた相手が気づきません。また、全員に通じる言語を使用するように心掛けてください。下に自分が使った会話のルールを書いておきますので、参考にでもしてください。

・普通の発言は普通に記述
 (行動宣言や状況説明、ダイスの結果等)
・PCの発言は「」付で記述
 (PCの台詞)
・PLの発言は()付で記述
 (GM,PLへの質問や台詞にしない思惑など)
・誰かに話しかけるときは『>話しかける相手』と記述
・発言は基本的に標準語を用いる

 これを守ってもらうと、GM的には処理がかなり楽になります。GMは基本的に全ての会話に目を通すことになると思いますが、上のルールを使った場合『>GM』『>NPCの名前』と記述されない限り読み飛ばしても構わない、ということになります。また、リプレイ等を作成する場合も()でくくられた個所は基本的にリプレイには必要のない内容ということになります。
 標準語ではない言葉は、方言のほか、特定の年代にしか通じない言葉や、オタクやマニアにしか通じない言葉、専門用語、略語などがあげられます。 勿論、全員に確実に通じるのであれば、どんな言葉を使うのも自由です(ここで書いているのはPLが使用する言葉であって、田舎者で訛りのあるPCを演じることを禁じているわけではありません)。

☆マナーとルール☆

 TRPGはコミュニケーションのゲームです。お互いに気持ちの良いセッションを行うために、マナーやルールは必ず守りましょう。インターネットの持つ匿名性のためか、ネット上だとマナーの悪いルールを守らない方というのは、オフラインに比べてかなり多いようで す。ドタキャンをする、遅刻する、嘘をつく、など後々の迷惑を考えずに行動する人も少なくありません。その人の根本的な問題なので対策法は特にありませんが、しいて言うならそういう人とは一緒にセッションをしないのが良いようです。
 なお、予定をキャンセル、または遅刻の場合は、事前にGM(もしくは全員)に「参加できないかもしれない」「時間に間に合わない」事を伝えてく ださい。「後で泣いて謝れば(もしくはそう見せかければ)どんな人でも許してくれる」からという理由で、計画的にドタキャンしたり、遅刻したり、嘘をつくのは根本的に間違っています。心当たりのある方は考慮してください。

☆時間☆

 基本的にセッションにかかる時間は、オフラインに比べ多大な時間を要します。特に「みんなで話し合って何かを決める」ということは恐ろしく時間がかかります。戦闘なども手順が複雑なものであればあるほど、異常に時間がかかります。時間がかかることに関しては実はどうしようもないのですが、多少軽減することは可能です。そのためには、参加者全員の協力が必要になってきます。

決断する

 日本人の性質的な問題かもしれませんが、「誰かの出した案に賛成する」事はできるが、「自分から意見を言うことができない」人は予想以上に多いのです。また「誰かの意見に反論する」ことしかできない人もいます。この件は突き詰めると日本の教育問題にまで発展してしまうので止めておきますが、これを一つの事実として覚えておいて下さい。
 PLは何かを決断する場面に出くわしたら、何でもいいので意見を出すようにしてください。自分の管轄ではないと「考えることを放棄」しないで、積極的に参加して意見を述べてください。また、誰かが意見を出したら、それに対して意見を述べるようにしましょう。
 GMは決断を求める場面はできるだけ悩ませないようにシナリオを作成する様にしてください。二択の場合も「一方を選んだほうが明らかにメリットがある」ようにしておけば、PLはあまり悩みません。極端な例ですが「左の道は危険な上に遠回り」「右の道は安全かつ近道」であれば、普通は右の道を選び ますよね。PLに頭を使って欲しいとしても、時間がかかりすぎて、だれてやる気を失ってしまう事のほうが実は問題なのです。

戦闘

 戦闘はTRPGで盛り上がる部分の一つです。が、実際には役割ごとにやることが決まっているのが普通です。 戦士は「敵Aを殴る」を毎回繰り返し、僧侶は「回復魔法をかける」「敵Bをなぐる」の二種類くらいです。つまり、戦闘ですることを予め決めておけば戦闘に かかる時間は圧倒的に少なくなります。用いるTRPGシステムにもよりますが、誰から順番に行動宣言を行うかをセッション前に決めておくのが良いでしょう。また、GMは「第一ラウンド」などと、ラウンド(ターン)の区切りを明確に発言しておくと良いようです。なお、行動し忘れたりした場合は、そのラウンドは「何もしない」事を選択したとみなすのが良いようです。「コンピュータRPGのオート戦闘機能のように前回と同じやつを攻撃するつもりだったに決まってるだろ」などと愚痴るのは間違っています。

☆コミュニケーション☆

 TRPGはコミュニケーションのゲーム、と言いつつもオンラインセッションではコミュニケーションを取る手段が少なく、また難易度が高いといえます。それは今のところ「文字しか伝達手段がない」という事が主な原因であるといえます。コミュニケーションの低下は、いろいろな部分で影響を及ぼしてきます。ここではいくつかの影響が大きいものをあげてみます。

表現力

 表現力は確実に落ちます。オフラインのセッションでは身振り手振りやジェスチャー、首を振る、アイコンタクト、表情、しぐさ、行動、口調、語調、話し方、話すスピード、声色、雰囲気、β波(?)など、本人が自覚していないような部分でもいろいろな表現を行っています。そのため、文字(文章)だけで表現するということに慣れている人のほうが少ないのです。
 オンラインセッションの参加者は文字だけで表現する方法を学ぶ努力をしてください。発言するときは主語と述語は必ず書くようにしてください。また、指示語(これ、それ、あれ、どれ)の使用はできるだけ避けたほうが良いようです。そして、『5W1H』を明確にすることで、かなり表現力は高くなると思います。表現力のバリエーションが少ない人は、何でもいいのでたくさんの本を読むようにしましょう。

『5W(ごダブリュー)1H(いちエイチ)』

英語 発音 意味 When ホエン いつ Where ホエア どこで Who フー だれが What ホワット なにを Why ホワイ なぜ(どんな目的で) How ハウ どのように、どうやって

記憶力

 あまり関係なさそうに思えるのですが、記憶力は確実に低下しています。基本的に人間というのは印象が強いものほど長く濃く記憶にとどめることができるようです。しかし、オンラインセッションでは基本的に文字でしか伝えられないので、記憶に残るほどの強烈な印象というのは与えにくいのです。
 また、一般的なオンラインセッションでは、セッションログを後から確認することができるため、「後で読み直せばいいから、読み飛ばしている」という人もいますし、チャットなどに不慣れな人は「どこを見て何をすればよいか」などがわからずパニックに陥り、場面や状況を把握したり楽しんでいる場合ではない人もいます。
 結果的に「重要人物の存在を忘れる」「自分達の目的を忘れる」など、致命的なミスが起きることがあります。PLは実際にメモを取るなど記憶する努力をしてください。GMはオフライン以上に重要部分を強烈にアピールしてください。

雑談

 オフラインでは容易に行えるのに、オンラインでは容易に行えないのが雑談です。雑談というのは相手を知る方 法として非常に重要な要素を持っています。基本的に参加者は全員コンピュータの前でコンピュータ相手に遊ぶわけですが、ネットの向こうにも人間がいること を感じることは難しいのです。故にとりとめもない雑談が「パソコンの向こうに人間がいる」ということもあります。実際にセッション中に雑談し脱線すること は他の人の迷惑になるのでお勧めはできないのですが、余裕があればメールやチャット、掲示板などで交流を深めてもらえるといいと思います。ただ、仲良くなることはいいことなのですが、馴れ合うのはあまり良い結果を生まないようです。

#サークルや団体によっては、トラブルを避けるために参加者同士の交流を禁じている場合もあります。

☆セッション☆

タイプスピード

 掲示板のセッションではあまり関係ありませんが、チャットのセッションの場合はタイプスピードがかなり重要視されます。基本的に速いほうが良いのですが、一番よく喋る(はずの)GMより速い必要はありません。また、無理に長い文章を書く必要はありませんし、多少打ち間違えていても伝えたいことが通じれば良いのです。チャットの場合、一行に表示できる程度の長さで喋るのが、読むほうとしても楽であるようです。
 これに関して、一つの例をあげてみましょう。あるセッションで開始から終了まで、ほぼ一言も喋らないPLがいました。セッション後に何故かを尋 ねたところ、「発言しようといろいろ書いているうちに別のPLが言いたいことと同じ内容のことを言ってしまったので、発言せずにいた。その繰り返しで最後までほとんど喋らなかった」と言っていました。が、実際には途中から「別のPLが同じ事を書くだろうから、自分は発言しなくてもいい」という考えであるようでした。結果的に、GM一人、PL一人、観客数名というような形になってしまい、PLさんは非常に苦労したようです。発言を放棄することで自分は楽かもしれませんが、他のPLに負担をかけることになっています。そのあたりも考慮してセッションに望んでください。また、物語が作られていくのを眺めているだけというのは、TRPGではありません。

シナリオ

 表現力や記憶力の低下などの理由から、オンラインではあまり複雑なシナリオは行わないほうが良いようです。 特にシナリオを数回のセッションに分けて行う場合、セッションログ等があるにも関わらず、前回の内容を覚えていない人が多いのです。よって、記憶力が必要とされないシナリオの方がオンライン向きともいえます。起承転結で言うなら起結という構成の方が好まれ、PLはそれで十分に満足してしまうようです。勿論、複雑なシナリオを好む人もいますが、どうやら少数派になってしまうようです。
 なお、キャンペーンシナリオについてですが、10年で完結するなど異常に長い時間がかかるのが普通のようです。オフラインで2~3時間のシナリオに、掲示板(オンライン)では4~6ヶ月かかり、チャット(オンライン)では、12~16時間(4回)かかりました。興味の持続と言うのはそれほど長く続くわけではありません。途中で脱退する可能性がある場合は、GMと相談して参加するかどうかを決めてください。

☆メリット☆

 どちらかというとオフラインに比べ劣っている部分が多いオンラインセッションですが、メリットも当然あります。

時間と場所

 時間は参加者の都合さえ合えば、いつでも可能です。よくあるオンラインサークルでは、平日の夜と週末の昼夜など、人が集まりやすい時間には常にセッションが行なわれていたりします。また、場所はインターネット環境さえあれば割とどこでもできます。ただ、使用するソフトなどによっては多少制限を受ける場合もあるでしょう。ですが、オフラインに比べて制限が格段に少ないのは間違いありません。

用意するもの

 オンラインでは、セッションで使用するものを用意する必要があまりありません。ダイスもいらないし、テーブルもいりません。ルールもネット上(またはパソコン上)にあれば事足りますし、セッションで使用するツールは基本的にフリーウェアが多いので無料で揃えることができます。荷物をそろえて出かける必要もなければ、電車等の交通費もかかりません。勿論、自宅で遊ぶのであれば忘れ物とかが発生することもありませ ん。

☆オンラインセッションをしたい人は☆

 実際にオンラインセッションはしたいけど、どうすれば実際にオンラインセッションができるか簡単に書いてみます。

1.システムを決める

 ある程度メジャーで、オンラインで使いやすい、比較的単純なシステムのものが向いています。あまり限定しすぎるとメンバー集めに困ることもあるので、適度に絞っておきましょう。ファンタジーとかホラーとか近未来ものとか、その程度でも良いかもしれません。

2.メンバーを集める

 基本的にはオンラインセッションを行なっているサークルに所属してみるか、TRPG系の募集掲示板で呼びかけてみるのが割とよくあるパターンだと思います。
 募集する場合はある程度の具体的な条件を提示しておいたほうが良いようです。オフラインのTRPGの経験の有無、年齢、TRPG暦、プレイ経験のあるシステム、GM経験の有無などは聞いておいたほうが良いと思います。これらは長ければ良いというわけではなく、自分と近い経験をされている方を募集 したほうが良いと思います。なお、GM経験がある方は「GMに迷惑がかかる行為」をあまりしないPLになるようです。中には「長年TRPGをやっているの に初心者だと名乗る」人や「未成年だとなめられると思い嘘の年齢を名乗る」ような人もいますが、そういう方は後々で迷惑をかける可能性が高いので気づいた時点でお断りしても良いと思います。
 サークルの場合は、募集手順等が決まっているので、その手順に従ってくれればよいと思います。

3.オンラインセッションの準備をする

 全員の都合の良い日程を決め、実際にセッションを行ないます。使用するソフトの使い方やルールの把握などは全員に事前に確認してもらうべきでしょう。当日の開始時間になってから「使い方がわかりません」などとメールを送ってくる人がいますが、一人のために他の仲間全員に迷惑をかけることになるのでちゃんと事前に準備しておきましょう。

4.オンラインセッションをする

 初めてのTRPGの時は、普通は見知らぬ人ばかりでセッションをすることになります。緊張や不安などいろいろあるでしょうが、とにかく積極的にプレイに参加してください。「初めてのGMだから」「初めてのメンバーだから」「初心者だから」などと理由をつけて喋らない(行動しない)という行為は、周りの人たちの足を引っ張ることになります。控えましょう。また、参加者はそれぞれ違う環境で遊んできていると思うので、遊ぶ目的もプレイスタイルも違ってきます。その場合、基本的に使用システムかGMの方針(プレイスタイル)に合わせてください。
 また、良くあることですが、GMに過剰に頼ったり、全ての責任や義務をGMに押し付けたがる人もいますが、GMは必要以上のことをする必要はありませんし、必要以上のことを押し付けられたり望まれたりしても答える必要はありません。GMは学校の先生でも幼稚園の保母さんでも両親でも家族でも兄弟でも先輩でも上司でもありません。最低限、自分でできることは自分で行い、別の誰かに依存しなければならないような状況はできるだけ作らないようにしてください。

5.反省会、プレイ後の雑談等

 なるべく反省会等を行なうようにしてください。その場合に望まれるのは「本人には気づかない悪い部分の指摘」や「それらを取り入れて自らを反省し改善すること」です。決して「相手への不満を言いストレス解消する」や「表面的に謝罪の言葉を並べ立てる」ことではないのです。反省会で「ひたすら相手を罵る」とか「謝罪を強要する」のは根本的に間違っているといえます。反省会では基本的に冷静さを保つようにしてください。
 また、上辺だけ「楽しかった」「面白かった」と言うのはあまり意味がありません。GM的には具体的にどのあたりが面白かったのかが聞きたいという気持ちがあります。人によっては「誉められて伸びるタイプ」もいたりしますが、あまりにも「おべっか、おべんちゃら」なものは逆に敬遠されます。感想を述べる場合は、「良い部分」と「悪い部分」を考えておくと良いようです。

6.その他

 オンオフに限らないことですが、楽しもうという気持ちを持ってセッションに挑みましょう。オンラインでは目の前にはパソコンしかないので、本人がそれなりに気持ちを高めないと楽しむことすらできないこともありえます。

☆プチ情報☆

・人間の集中力は3時間を越すと急激に低下します。セッションの際は3時間おきに休憩しましょう。
・人間が無理なく読める1行の文字数は30文字前後だそうです。一行の文字数を調製しましょう。
・PC名(ニックネーム可)は短くしましょう。チャットでは名前が長いと読みにくくなります。

☆あとがき☆

 オフラインセッションには利点も欠点もあります。いろいろな面を知って楽しいオンラインセッションライフを送ってください。


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