2004年08月号

TRPGにおけるノートパソコン活用法

特集: 単発記事
筆者: 森須

森須

 今年度、うちのサークル活動時のノートパソコン持ち込み率が格段に上昇した。多いときにはコンセントが足りず、コンセントの奪い合いをしていた時もある。このノートパソコン、TRPGでゲームマスターをする時には非常に使い勝手の良いツールなのである。

シナリオ

 シナリオを作るときにはパソコンが便利である。エディタにシナリオを打ち込んでおけば、自由に編集できるので無駄な紙を消費しないですむ。また、プレイ中もノートパソコンにシナリオを表示させておき、それを見ながらプレイすればマスタースクリーンも不要である。この場合、複数のウィンドウを立ち上げておき、シナリオと同時にプレイに必要な表やデータも参照できるようにすれば、いちいちルールブックから表やデータを探す手間が省ける。(必要になる表やデー タあらかじめ打ち込んでおく必要があるが。)
 シナリオを打ち込むエディタは普通のテキストエディタでもいいが、アウトラインエディタを使えばさらに便利になる。アウトラインエディタとは文章を章ごとに管理できるエディタのことで、シナリオの進行度ごとに作成しておけば、プレイ中に今シナリオのどの段階まで進んでいるかが一目でわかる。また、シナリオの場面ごとにまとめておけば、即座に特定の場面を参照することができ、検索性も格段に上がる。
 ノートパソコンにシナリオを打ち込むメリットがもうひとつある。プレイ後、シナリオを公開するのが容易なことだ。紙に書いたシナリオは字が汚かったり順番がめちゃくちゃだったりして、公開するのに一手間かかってしまう。しかしエディタに打ち込んだシナリオなら、そのファイルが読める環境さえあれば誰でもそのシナリオを見ることができるのだ。ネットやメーリングリストでシナリオを公開すれば、私たちはこんな遊び方をしているんだよという外部への宣伝にもなる。

乱数

 TRPGのプレイでは様々な乱数が用いられる。たいていのTRPGではダイスを使用するし、他にもランダムチャートを使用する場合もある。これらの乱数をコンピュータに出させるという方法がある。ダイスは自分で振りたいマスターも多いだろうが、ランダムチャートをプログラムで出せるようにしておけばいちいちルールブックやシナリオを検索する手間が省ける。また、ソードワールドのレーティング表のような要素も、コンピュータ上に用意しておけば一発で出るので便利になる。

計算機

 プレイ中に電卓を使う機会も多い。ダメージを受けた残りのHPを算出するには、簡単な引き算をすることになる。僕らは工学系大学のサークルなのでそんな暗算は即座にできるが(笑)、全ての人が2桁の引き算を即座にできるわけではない。また、ダメージを倍にしたり半分にしたりする計算もたまに起こるが、これらの計算もコンピュータにさせることができる。もっとも、電卓のほうが場所を取らないだろうが(笑)。

音楽

 コンベンションなどではあまりお目にかからないが、身内だけのセッションなどではプレイ中に音楽をかけている人たちが多い。とある会社のリプレイでは、この場面にこんな音楽をかけていたんだよという記述がある(かなり偏った選曲をしていたようだが)。音楽を流すのには普通はラジカセやCDプレイヤーを用いるが、代わりにノートパソコンで流してみてはどうだろうか。MP3で音楽を大量に用意しておき、場面に合わせた音楽をかければ、プレイもさらに盛り上がるというものである。一般にノートパソコンは音質が悪いが、外部スピーカーを用意しておけばその問題もクリアされる。
 プレイ中に音楽をかける場合の注意点がいくつかある。ここにその注意点をふたつ挙げておく。
 ひとつは、音量を上げすぎないこと。音楽が大きすぎて遠くに座ってる人の声が聞こえなければ意味がない。ゲームマスターがお誕生日席(テーブルの短辺) に座っている場合、声が音楽にかき消されないかどうか、反対側の短辺で一度確認しておかなければならない。テーブルの長辺に座っている場合でも、短辺に座っている人同士の声が届いているか確認しておく必要がある。
 もうひとつは、用意する曲はできれば歌のない曲が望ましい。歌のある曲をかけるとどうなるか。その歌を知っているプレイヤーが歌いだし、プレイの邪魔になることがよくある。歌わないまでも、脳の一角をその歌の歌詞が占拠して、プレイに身が入らないことがあるので注意。
 使用する音楽であるが、僕はクラシック音楽をお勧めする。クラシック音楽はたいてい静かに鑑賞するための音楽であり、プレイ中にわずかな音量で流れているだけでも雰囲気作りに効果がある。今ならクラシック音楽のCDは100円ショップで大量に販売されている。これを機会に、クラシック音楽をたしなんでみてはいかがだろうか。

リプレイ

 リプレイを起こす作業はとても難しく、時間がかかるものである。普通はテープレコーダやビデオ、ICレコーダなどを用いている。このテープレコーダやICレコーダの代わりに、ノートパソコンにマイクを接続して用いてみよう(さすがにビデオの代わりにはならないが)。
 僕は今までプレイの録音にテープレコーダを用いていた。ただ録り貯めるだけだとテープが大量になって管理が面倒なので、こまめにパソコンに取り込んでMP3形式に変換し保存していた。しかし、テープレコーダの代わりにノートパソコンを用いれば、プレイ中にこの作業が行え、また新しいテープも買う必要がなくなったので、かなり楽になった。ノートパソコンに録音すると、テープレコーダよりも音質が良く、さらに録音した音声をいじることもできるので、小さな声も逃さず聞き取れるようになった。さらに場面ごとにファイルを分ければ、プレイの途中からの再生も容易になり、検索性も上がった。
 もっとも、ノートパソコンを用いてもリプレイ起こし自体の作業はあまり簡単にはならない。複数の人の声が混じっているので、音声認識ソフトも使用できな い。しかし、音声認識ソフトを使用できるようにする方法がある。プレイに参加している人と同じ数のノートパソコンと指向性マイクを用意するのだ(笑)。 もっとも、コストがかかるので実行したことはないが。

キャラシートの管理

 キャラ作成は時間がかかるものである。この作業をコンピュータ上で行う方法がある。ある程度のプログラム知識が必要になるが、一度プログラムを作成してしまえば、簡単にキャラクターを作り出すことができるようになる。キャラシート表示機能や出力ファイルを工夫すれば、オンラインセッションを行う際にも使用できて便利だ。
 そんなプログラム知識を持ち合わせていなくても、キャラの管理をコンピュータで行えば便利になる。プレイしたキャラクターデータをコンピュータに入力してしまうのだ。そうすれば、次回も同じキャラでプレイすることができる。大量のキャラシートを持ち歩かなくても、ノートパソコンを持ち歩くことで今までプ レイした全てのキャラを保管しておくことができるので便利である。
 ゲームマスターの時も、ノートパソコンはキャラシートの管理に使える。今プレイに参加しているキャラのシートをノートパソコンに打ち込んでおくのだ。レコードシートよりもより詳細な、そして必要なデータを参照することができる。さらに、こんなキャラとプレイしたよという記録も残せる。

印刷

 プレイに必要なシートをファイル形式で公開しているシステムもある。近くにプリンタがあれば、もしなくてもハンディプリンタを用意できれば、シートが足りなくなっても即座に印刷できて便利である。
 印刷すると便利なのはシートだけではない。ハンドアウトや今回予告、そしてプレイ中に必要な地図などはあらかじめ用意しておくのが普通だが、プレイヤーの人数が多いなど何らかの理由でもう一枚必要になることもある。また、フリーソフトを入れておいて方眼紙などが足りなくなったときに印刷することもできる。
 もっとも、この使い方の欠点は、やはりその場にプリンタがない場合のほうが多いことだけど。

まとめ

 このように、TRPGをするときにノートパソコンを用意できれば、かなり便利になる。せっかくの文明の利器だ、どんどん使用しようじゃないか。

おまけ

 わかってるとは思うが、プレイ中にパソコンゲームをしちゃだめだぞ(笑)


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