シナリオ「日シナの理緒ちゃん」19
1.
克哉「ぶつぶつぶつ……」
理緒「どうしたの、克哉くん。なんだか暗いよ」
陽一郎「どうも受験ノイローゼらしいんだよ。何とかしてあげられないか」
2.
克哉「国家試験は難関な狭き門で、覚えるべき事はきりが無くて、しくしく」
理緒「……勉強向いてないんじゃないの、この人」
陽一郎「結果を見る前に努力を放棄してしまいそうに見えるのは確かだな」
3.
両手で顔を覆う克哉.
克哉「二人して酷いよお。勉強が自分のためになってるかの実感も無しに努力ばっかり続けてなんかいられないだろう」
陽一郎「ついに壊れたか」
理緒「うーん……。目的がある学習を気分良くこなしたいなら、『日シナのマスタリング講座』がお勧めよ」
4.
陽一郎「そこでなぜ、TRPGの講座が出て来んだよ」
理緒「『日シナのマスタリング講座』は、シナリオ作成という大目標に向けて、情報を集めて知識を蓄える、そういう手順から講師陣が指導して下さるのです」
5.
理緒「バインダー式のテキストと実用新案のマスタリング練習器を使えば、身につけた知識をどう活用すれば良いか、また、逆に何が自分にまだ欠けているかを自分ひとりで確認しながら学習を続けて行けるのよ」
克哉「……これがあれば、効果を実感しながら勉強を続けていける?」
理緒「もちろん」
6.
理緒「そして、1日20分の練習を続けるだけで、シナリオ検定にも楽々合格。シナリオ1級合格者の9割以上が、日シナの出身なんですって」
陽一郎「ある講座が、何かの資格取得に役立てるためにあるのは、考えてみれば道理だな」
克哉「効果も立証されているんだ」
理緒「60年の実績があるのよ」
7.
克哉「今すぐ役立つものがあると知ったら、なんだか心が軽くなったよ」
陽一郎「それは良かった。連れ出した甲斐があったな」
理緒「安心できた所で、セッションに参加してみますか。気分転換に」 マスタースクリーンを立てる理緒。
8.
陽一郎「じゃあ、克哉の番だ、って。何やってるんだよ」
ダイスを掴んだ拳を上下するばかりで、なかなか行動を申請しない克哉。
克哉「…………」
理緒「まだ何か、足りない情報があるのかな」
9.
克哉「うーん、どう言えば良いか。結果がどうなるか見極めがつかない間はなかなかやる事を絞りきれなくて。うーんうーん……」
陽一郎「そんな決断力の無いことでどうするんだよ。テストでもない、只のゲームなのに」
理緒「努力の出し惜しみをするタイプだったのか。ノイローゼじゃなくて」