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2004年06月号

オンラインセッションでの地図作成(Windowsユーザー向け)

特集: 単発記事
筆者: 紫峰風海

はじめに

『オンラインセッションではダンジョンものや、マッピングは難しい』
 よく聞かれる言葉ですね。ですが、不可能ではありません。
 確かに紙の上に鉛筆を走らせるのよりは面倒かもしれません。でも、パソコンでならフリーハンドで書くよりも、ずっと綺麗でわかりやすい地図を書くことだってできるんです。
 いろんなことができるパソコンを使っているんですから、このさい、地図を書くことにもチャレンジしてみませんか?

一番簡単な手法

 手っ取り早いものでは、テキストエディタ上に記号や文字で簡単な地図を描くことでしょうか。
 たとえば、■は壁、□は扉である、とみなして、こんな感じに組み立ててみるのですね。

 そのほかにも、罫線(┣ ┐ ┼ など)を並べたり、/斜線、☆や◎などもいろんな目印に使えそうです。
 ところが、これをそのままIRCなどに貼り付けたり、html化したりすると、環境によっては崩れてしまいます。

 このように、スペースが狭められてしまうことがあります。
 これは表示しているフォントが『プロポーショナル』のときに起こります。プロポーショナルフォントとは文字によって幅が違う、MS UI Gothic、MS Pゴシックなどのことです。
 MS ゴシックなどは等幅フォントです。このフォントではどの文字も同じ幅で表示してくれるので、崩さずに表示することができます。
 IRCに流したりする前に、全員の環境を確かめてみましょう。

 また、貼り付け中に他の人の発言が挟まると、ちょっと悲しいことになってしまうので、あらかじめ断っておいたほうが無難です。

ペイントでの地図作成

 テキストでの地図は簡単なのですが、うねうねとした線や複雑な構造のフロア、だだっ広い部屋などを書くには向いていないでしょう。
 また、地図上に罠や謎のスイッチ、ダイイングメッセージの跡、魔法陣の場所などを書き入れてみたい時ってありますよね。
 そんなときは、ペイントを使ってみましょう。


 スタート→(すべての)プログラム→アクセサリ→ペイント で起動する、あのペイントです。

 左のツールボックスのアイコンの上にカーソルをのせると、ツール名が出てきます。
 よく使う描画ツールは、直線、四角形、楕円、テキストでしょうか。
 また、『元に戻す』や『貼り付け』などのWindowsでは一般的なショートカットキーも使うことができます。メニューバーを参照してみてください。

 きれいに見せるコツは、
・線をそろえること
・長いテキストを入れるときは枠の外に書いて、線などでつなげること
・目立たせたいものは鮮やかな色にすること、同じパーツは色をそろえること
・パーツによって線の太さを変えてみてもいいかもしれません。

 ツールボックス上部の、星型と長方形の点線は範囲選択ツールです。これで領域を選択して、コピーや切り取り、削除ができます。
 選択した範囲をマウスカーソルでつかんでひっぱると、移動することができますが、このときに Ctrl キーを押しながら移動すると、元の絵を残したままコピーして移動することができます。

 通常のコピー&貼り付けもいろんなことに活用できます。
 一階と同じような間取りの二階の図、なんていうのもすぐに作れました。(実際にセッション中に書いた見取り図です)

 範囲選択ツールとテキストツールを使うとき、ツールボックスの下のほうに二つの絵が出ています。
 上は背景色不透明モード、下は背景色透明モードになっています。
 背景色とは、パレット左の選択色のうち右下のほうで、パレット上で右クリックか、あるいはスポイトツール使用時にキャンバス上で右クリックをすると変更することができます。

 フォントは変わったものを使ってみるのも面白いでしょう。でも、読めなくなるようではいけません。
 個人的なおすすめはMS UI Gothicでしょうか。『は』や『ね』などの輪になった部分を大きめに表示してくれたりするので、文字を小さくしてもあまりつぶれた感じがしません。

 書いていてキャンバスが狭くなったときは、右や下・右下の点を引っ張って広げましょう。

そのほかのソフトの便利な機能

 迷宮の見取り図を書くときに、あると便利なのが方眼用紙ですよね。やっぱりこれも、パソコンでもできちゃいます。

 私が使っているのは D-Pixed というソフトですが、「グリッド・スナップ機能」がついているお絵かきソフトなら何でもOKです。
 グリッドとは方眼を表示させる機能、スナップというのは、方眼の上に定規をあてたような線を引いてくれる機能です。

 もちろん方眼は等間隔ですので、これさえあればウィザードリィのマップのようなのもすぐに書けますね。


 また、D-PixedにはPhotoshopやお絵かき掲示板と同じようなレイヤー機能がありますので、それを重ねて、一枚の絵で『見せる』ところ『見せない』ところを作る、ということもできます。
 プレイヤーには普通の見取り図だけ渡して、マスターは罠やモンスターの場所を書いたマップを持っている、というのも便利で面白そうです。
 ……くれぐれも、間違ったほうやすべてのデータが入ったファイルを渡したりしないようにしないといけませんが。

みんなに見せる

 さて、マップを書いて保存しただけではあまり意味がありません。
 マスターだったらプレイヤーに、プレイヤーだったら仲間やマスターに見せるという仕事が残っています。


 まず気をつけたいのは、ファイルの保存形式です。
 .bmp(ビットマップ形式)だと、ファイルサイズが大きすぎます。また、.psdや.dpxなどの、お絵かきソフト固有の形式になると、そのソフトを持っている人同士でないと見ることができません。
 ということはブラウザがあれば見られる.jpg(JPEG形式)か.gif(GIF形式)ということになりますが、この場合は色数も少ないのでGIFにすべきでしょう。
 JPEGは写真などの、色数が多い画像に適しています。また、同じ色の部分が広くある画像をJPEG形式で保存すると、モアレというモヤのようなものが掛かってしまいます。

 フリーソフトを使っていると、GIF形式が使えない場合があります。この場合は他のソフトでGIFにするか、.png(PNG形式)を使いましょう。
 PNGの性能はGIFと大差ありません。ただし、古いブラウザでは見えない場合があります。ブラウザの上にドラッグ&ドロップしても表示されない場合は、IMGタグだけ書いたかんたんなHTMLを用意し、それを表示すると読めることもあります。


 保存したファイルを相手に見せるには、
・DCCで送る(IRCでセッションをしている場合)
・WEB領域にアップロードする(領域があれば一番簡単)
・アップロード掲示板に投稿する(奥の手?)
 などの方法があります。
 どの場合も、相手に一言了解を取る、倉庫利用が禁止されているサーバーでないか確認する、利用規約をきちんと読む、などマナーに気を配りましょう。

おしまいに

 


 この文章を書いている最中に参加したセッションのマップです。フローチャートのような地図もありかなと思って作ってみました(笑)操作に慣れればペイントだけでこのような図も書けます。

 今回は触れませんでしたが、一人で書いてみんなに配るマップだけではなく、クライアントソフトやJavaを利用したお絵かきチャットを使って、みんなで記入していくという方法もあります。
 やってみたことはありませんが、お絵かき掲示板に投稿して、どんどん上書きしていくというのも手間が少なくていいかもしれません。

 地図、BGM、セッションログの編集に、チャット。
 いろんなことをしたくなるTRPGの世界と、使い方次第でいろんなことをさせてくれるパソコンとは、実は相性がいいんじゃないかな…… と勝手に思っています。


紫峰風海(Kazami)  月光華亭ファンクラブ


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