2002年12月号

映画『クイーン&ウォリアー』レポート

特集: 単発記事

私がいつもお世話になっているTRPG.NETですが、そのサービスの中にIRCがあるのを皆さんはご存知でしょうか。そこに居ると色々な人から色々な話が聞けてとても楽しいのです。今日は、そんなTRPG.NETのIRCに常駐していたお陰で経験出来た「クイーン&ウォリアー」というステキな映画について書いてみようと思います。

 はじまりは或る日の夕方でした。IRCで「クイーン&ウォリアー」なるスペイン産のファンタジー映画が、TRPG絡みということで話題に上がったのです。

 早速見に行ったWeb上の粗筋によると、ファンタジー世界の英雄が呪いで現実世界の少年(TRPGゲーマー)の肉体に囚われてしまうとあります。そして宣伝用の写真には蛮人コナン風の男性の横にビキニアーマーの女性。Web上の評判も
「怪作」や「ファンタジックムービー」など曖昧な感じの評価が怪しさ大爆発で興味はいや増すばかりでした。しかも単館でレイトショー。観にいきたい。しかし時間が遅すぎる…。私の揺れる心を決めてくれたのはポスターのキャッチコピーでした。

 「ラスボスは近くに居る。」

 キャッチコピーに心を撃ち抜かれた私は仕事を早々に切り上げて途中で同居人と合流し、変な方向へと膨らみ続ける期待を胸に映画館へと向かいました。そしてその期待は全く裏切られることはなかったのです。冒頭は登場人物の顔が濃いことを除けば普通のファンタジー。しかし途中で現実世界へと場面が移ります。ここからが悶絶地獄でした。

 ちょっとフォローしておきますが、映画としての作りはそんなに悪くないものでした。ハリウッド映画に比べれば技術的に稚拙な部分は多々ありますが、テーマもまぁ「現実とは何か」というような至極真っ当なものであったのだろうと思います。実際CGを使っている部分は迫力もあり、現地では数々の賞(主に映像的なもの)を獲得しているというのも頷けます。

 では何が私を悶絶させ、同居人に空のペットボトルの底を噛み続けさせたのか? それは、二人がTRPGゲーマーであり、この映画では少年が現実と虚構の区別がつかないTRPGゲーマーとして容赦なく描かれていたことです。主体として描かれているファンタジー世界の英雄が、映像で描かれている現実世界では TRPGゲーマーの中学生であり、世界のクロスオーヴァーは匂わせるだけで明確に示されることがない。つまりそこに描かれているのは少年の錯乱(としか見えない)ぶりだったのです。

 加えて劇中のTRPG風景も「痛み」を大きくしてくれます。

 『深夜にビルの屋上でマリファナを吸いながらプレイされるTRPG』

 『プレイヤーを「敬わないと殺すぞ!」と恫喝するマスター』

 『隣のビルの窓から見える絡み合う男女に気をとられて中断されるセッション』

 そして『物凄い念が込められたダイスロール……』

 映画が終わった時には、3時間映画を二本続けて観たくらいに疲れ切っていました。

 今回この記事を書くにあたってWeb上で情報を集めたのですが、ある人がこんな書き込みをしていました。

 「きっと、ゲームオタクの方には、わかる、わかるの世界なんでしょう」

 とんでもない誤解です(^^;
 わからん、わからんの世界ですよ!チュッ!チュッ!




 ここで紹介した「クイーン&ウォリアー」は最近DVDが発売されました。お勧めはしませんが今ならクリスマス価格で買えるようです(^^; ただ、私の知人のように血が出るほど指を噛み続けてしまっても責任は負えませんので悪しからずご了承願います(^^;

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00006S27A/trpgnet0e-22

 最後に、“経験者”の方には再び記憶を呼覚ましてしまったことをお詫びしておきます(^^;

■大人専用
http://www.trpg.net/user/spud/


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