シナリオ「日シナの理緒ちゃん」26
1.
智子「知人が発行しているメールマガジンに、TRPG絡みで一文書く事になって、頭を捻ってる所よ」
理緒「智子さんなら大丈夫よ。マスター経験も多いし、シナリオもいっぱい作ってるでしょ」
智子「……あんたも『TRPGの経験は創作の役に立つ』って思ってる口か」
2.
理緒「違うのかな。役に立たない?」
智子「私のマスタリングって、創作なんかじゃ無いもの。プレーヤーの反応とかダイス目とか出来事表とかを見ながら機械的に辻褄合わせてるだけで、一人で話を作っていくなんてのは、した事がないわ」
理緒「……ええと。ほら、セッションの前にシナリオっていうのを作るじゃない。それは創作じゃないの?」
3.
智子「単純な状況設定はこしらえていくけど、それも面倒……ああ。シナリオとやらも今度の作文も、簡単な手順を踏むだけで誰でも簡単に出来るって方法、どっかに無いかなあ」
理緒「……ないこともないけど」
4.
理緒「でも、プレーヤーの反応を見ながら物語を紡いでいくのと同じ感覚で、読者の反応を想像しながら文章を書き進める技術が欲しいなら、60年の実績を誇る『日シナのマスタリング講座』がお勧めよ」
智子「マスタリングするみたいに、話を作っていけるの?」
理緒「経験豊かな先生方が、そうなれるように親切ていねいに指導して下さるわよ」
5.
理緒「バインダー式のテキストと、実用新案のマスタリング練習機を使えば、受け手の視点から自分の作品をチェックすることも簡単にできるのよ」
智子「TRPGのときに、プレーヤーが展開を動かすアイデアをくれるみたいに?」
理緒「それもOK」
6.
智子「練習は自分で出来るとして、実力がついたかどうか不安になりそうなんだけど」
理緒「それなら、腕試しにシナリオ検定を受験してみると良いわ。シナリオ1級の合格者の9割以上が、日シナの出身なのよ」
7.
智子「良いことを教えてくれてありがとう、理緒ちゃん。これで多分、無駄に悩まずに文章を仕上げることが出来そうよ」
理緒「智子さんのマスタリングみたいに、アドリブの効いたお話が書けるといいですね」
8.
智子「そうね。メルマガを出してる人が読んだら『発端は少し不安でしたが、なかなか面白く読めました。ちょっとオチが弱いかなーという気もしますけどね』って言いそうな程度の出来栄えって所かしら」
理緒「ずいぶん具体的ですね。いかにもそんな事を考えそうな方なんですか?」
9.
メルマガを出してる人「うーん。発端は少し不安でしたが、なかなか面白く読めました。ちょっとオチが弱いかなーという気もしますけどね」
理緒「なんて解りやすい人なんだ」
智子「これで、TRPGのプレーヤーとしても、底の浅い奴なのよ」