ワールドセクション
■アームズトリガー
○遥かに遠く限りなく近い世界。
アームズトリガーの最初の舞台は私たちが住む現代の地球と良く似た世界だ。
大きく違うとすれば私たちより遥かに発達した科学が存在し、そして魔法が実際に存在するということだ。
人々は遺伝子操作という科学の恩恵を受けて長寿も可能であるし、発達した魔法の道具で空を飛んだりも出来る。
しかし、実際には21世紀を生きる我々より、少し便利な、そして不思議に満ちた世界を想像してもらえれば幸いである。
買い物に行けばアンドロイドが今日の晩御飯に悩んでいたり、ライターを忘れた人間がちょっと呪文を唱えて煙草に火をつけたりしている、そんな世界だ。
そして、その世界には『アームドギア(仮称)』というロボットが実在している。
PCと呼ばれる君の分身は、このロボットに乗って戦っていくことになる。
君たちの日常はすぐに戦いの隣にあり、戦いを退けなければ君たちの日常は帰ってこないからだ。
○世界を護る力を持つ者。
アームドギアに搭乗して戦うパイロットたちの中でも、PCたちのような特別な存在はアームズトリガーと呼ばれている。
一般にはアームドギアの性能を普通の人より効率よく運用できる人々で、「レガシー」という特別なアイテムを通してその才を発揮できる人を指している。
だが、実際にはそれだけではない。
アームズトリガーは「ワールドエロージョン」と呼ばれる現象を認識することができ、自らの世界が書き換わっていくのを理解できる存在だ。
そして、その現象を食い止めて自分たちの世界を守ることができるのもアームズトリガーたちだけだ。
世界は今イリミネイターと呼ばれる、攻撃的な異世界存在の脅威に曝されており、これに唯一対抗できるのはPCたちだけなのである。
○レガシー。
レガシーは無機質の物体が突然に変質したものとされており、特殊な魔法的波長を放つため、判別がしやすい。
外見的には変質しても変わらないが、物理的な劣化が一切起こらなくなる。
これらの多くは当初過去の時代の産物から発見されることが多かったため、レガシーと名づけられた。
このアイテムをアームドギアと接続することで、アームズトリガーたちはアームドギアの性能を飛躍的に高めることができる。
形状は様々であり、操縦桿のような分かりやすいものから宝石のようなものもある。
レガシーの発見者がアームズトリガーであるかどうかも様々であり、持ち主を転々とした上で最終的な持ち主がアームズトリガーだったりと、人により入手の経緯は異なる。
突然自らの持ち物がレガシーとなった例も存在する。
■星の子供、人類に保護される星「テラ」
○世界の歩み。
人類の始まりはテラと呼ばれる、我々の住む地球とほとんど同一の星から始まった。
21世紀から遥かに進んだ時代の人類は太陽系外延にまで有人探査をするに至った。
困難とされたエネルギーの問題はテラの資源を有効に活用することで乗り越えることに成功し、
文明は人口を増減させながら、しかし大戦争により壊滅的打撃を受けることなく繁栄を続けた。
ところが、ある時ついに一つの終わりを迎えた。どうあがいてもこれ以上文明が発展できないという限界である。
幾月の歳月もの間、新発見といえるものは見つからず、人類は地球という星の外へ巨大な生存領域を手に入れることも叶わずにいた。
多くの学者が人類が太陽系で朽ちる様を悲観し始め、世界が未来を不安がりはじめていた。
そんな絶望の時代を終わらせたのは一人の「魔法使い」だった。
彼は多くの未知の事象を科学者に示した。空間から突然物質を出現させる。消滅させる。
何もないところから光を生み出して灯してみせる。多くの人は最初はそれをトリックだと信じた。
そんな事象を、ただの人間が起こせるはずがなかったからだ。
しかし、それが紛れもなく実際に起きた現象だと分かった時、多くの人々は彼に注目した。
彼は魔法を人々に伝え、多くの魔法使いが生まれた。科学者たちはその現象の究明に取り組んだのだ。
こうして未知の具象を示す魔法使いと、未知の具象を解析する科学者という奇妙な関係が誕生した。
魔法は多くの未知を人類に提供し、それを科学が解析・吸収することでそれを既知とし、人類は再び文明を発展させることに成功した。
それから月日が流れ、人類はついに銀河全域にまでその生存領域を拡大させるほどにまで至ったのだ。
かつては理想でしかなかった「テラフォーミング」という言葉も、既にこの世界では日常となって久しくなっていた。
○銀河連邦。
現在、人類の中心はテラから離れた惑星系に移っている。
人類は銀河連邦という巨大な1国家の枠組みの傘下にあり、各々諸国家として国の体裁はあるものの連邦に属しているというナショナリズムを持つ。
諸国家間でも戦争は当然起こっているが、それは今日の我々でいうところの派閥争いのようなものだ。
銀河連邦は議会制であり、星系を統括する政治家が代表として議会に参加している。
その人数は数千にも上るほどで、この人数が故に銀河連邦の決定は非常に鈍重なものとなっている。
はるか昔、銀河連邦の設立時こそ、太陽系は母なる場所として重要な位置にいたが、人類の生存領域拡大にあわせて、その地位を失っていった。
銀河連邦には連邦軍という諸国家の勢力によらない独自の軍隊を保有しており、銀河外からの未知の脅威にはまずこの連邦軍が対処する。
しかし巨大すぎる組織であること、議会の利害関係に振り回されることが多いことが多く、上手く機能しているとは言い難い。
諸国家の軍隊とは指揮系統が違うため、疎まれる原因ともなっている。
議会の決定する内容の多くは現在、突如現れた外宇宙からの脅威に対する議論でもちきりであり、その他の議論は停滞している状況である。
○地球保全計画
人類が銀河系全域に活動範囲を広げる中においてもテラはいまだ人類の住む星であり続けた。
それはテラの資源の飽くなき消費であり、その資源は既に限界にまできていた。
そこで大規模な地球環境の修復のため、地球に残っていた人口の多くを近隣の惑星に移住させる銀河連邦の議会決議が行われた。
この時太陽系は猛反発を起こしたが、しかし銀河全体の世論に押される形でこの決議に従うこととなる。
かくして、現在のテラの人口は十億にも満たない状態を維持している。
残った多くの人々は、アーコロジー都市と呼ばれる、完全循環型の都市に住まわされている状況だ。
それ以外の場所に現在大規模な都市計画は禁止されている。
その他に存在するのは小さな町や村くらいのもので、これらの多くも以前から町や村だった場所が残っているに過ぎない。
○アーコロジー都市
「テラ」に点在する都市は、すべて共通して生産から廃棄までを都市内部で完結するため、アーコロジー都市と呼ばれている。
これは銀河連邦が取り決めた地球保全計画を受け入れたまま、テラに残りたい人々が生んだ苦肉の策である。
もちろん、経済活動の大規模な縮小は免れず、外貨の獲得手段も限られているために裕福な生活とはいえない。
そこで「テラ」の代表者たちは銀河連邦の出資の元に文化維持を目的とした旧世代の生活再現を行うことを決断した。
はるか昔の歴史のある時代の都市の状況を再現してみようというものであり、
これを観光の基盤とすることと失われた文化の復活という建前のもと認可された。
もちろん、一番の理由は維持することが不可能な経済を銀河連邦の資金を賄わせることにあり、
都市の住民の多くもそうした自分たちの境遇については一定の理解があるため、反対運動をも大規模化せず、徐々に順応していった。
今やこれらの話も既に数世紀以上も昔の話であり、今の都市の住民はありふれた日常として、都市での生活を享受している。
■繋がり始めた世界
○パラダイムゲート。
この世界は多くの他世界との繋がりを持っている。
その架け橋ともいえるものが「パラダイムゲート」である。
このパラダイムゲートは世界にいくつか存在し、多くが「テラ」で確認されている。
何故「テラ」にだけ多くのゲートが存在しているのか、今ははっきりとわかっていない。
あるいは、銀河系の外から訪れている脅威というものも、このパラダイムゲートを超えてきた存在なのかもしれない。
様々な形状を持つが、ほとんどが数十メートル規模の門のような形をしている。
また、通過する時も機械の壁で物理的に連続している空間であったりするし、
色取り取りな奇妙な空間を抜けて超えるなどそれぞれが個性的である。
○イリミネイター。
ゲートを越えた先からくる他世界の存在のうち、攻撃的な存在をイリミネイターと呼称している。
彼らは、襲った領域を自分たちの都合のいい世界に変革していく危険な存在だ。
危険とされる理由は「ワールドエロージョン」という特殊な事象を引き起こすことだ。
彼らが支配した場所は、次第に彼らを受け入れ、彼らのやってきた世界に近づいていく。
剣闘士のような存在が学校であった場所を支配すれば、そこはコロシアムになり、教師はパトロンへと変化して生徒は剣闘士に変貌していく。
危険なのは、その支配領域の外にいる一般人たちもそのことに疑問を一切もたないことである。
時折、このワールドエロージョンに抵抗して異常に気づく人々が存在するものの、多くの人々からは変人扱いされてしまう。
○ワールドエロージョン
この現象はイリミネイターが明確にその場所を奪うという意思と目的を持ったときに起こる。
しかし、この現象は彼らの支配の最終段階に起こりえるものであり、第一にイリミネイターによる物理的な干渉が行われる。
方法は建物の破壊であったり、力による服従であったり、人々への催眠であったりと多様である。
この現象は徐々に範囲を拡大させていくため、その影響が大きくならないうちに、ワールドエロージョンを発生させたイリミネイターを倒す必要があるのだ。
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