2003年08月号

「敵」、どう使おう?

特集: GURPS記
筆者: Kyrie

 GURPSで結構使いづらい特徴のひとつに、「敵」があると思います。
 昔から互いにやりあってきた宿敵にせよ、自分が過去に犯した過ちのツケにせよ、キャラクタの肉体に潜む秘密を探るべく刺客を送り込む秘密組織にせよ、あるキャラクタの前に立ちはだかる障害として「敵」は魅力的なものです。
 ヒーローには常に「危険な使命」と「強大な敵」が必須ですし、それ以外の世界でも様々な形でシナリオを盛り上げてくれるでしょう――使いどころさえ、間違えなければ。

 「敵」が使いづらいのは何故でしょうか。今回はその一つ、大きなランダム性をどうするかを考えてみたいと思います。
 普通の敵であればGMの出目が不確定要素になりますが、「敵」は更に上乗せして登場そのものさえランダムで決定されてしまいます。これでは、下手に出てこられてシナリオが壊れてしまうこともあるでしょう。然し、あらかじめ異なる内容のシナリオを「敵」の数だけ用意しておくのも、労力が掛かりすぎてしまうはずです。
 では、どうすればよいのでしょうか。
 方法としてぱっと浮かんだものは、次の三つでした。

 (1)そもそも「敵」をPCに持たせない
 (2)シナリオに関係の無いところでかち会わせる
 (3)「敵」の出所をシナリオに組み込んでおく

 最も根本的な解決策は(1)なのですが、これでは身も蓋も無いですね。「敵」をどう使おうかというのに、使わなければ良いではないかでは何にもなりません。
 次に(2)です。こちらもこちらで、確かに戦闘をすることはするのですが、少し存在感が弱くなってしまいます。また、PLの不意を付くような遭遇を起こしにくいのも難点ではないでしょうか。
 では(3)はどうか。最初からシナリオの中に組み込んでおけば、話の経路を外れることはありませんし、存在感を際立たせることも出来ます。然しながら、あくまで「敵」は出現するかどうかはランダムなので、登場しないとあっさりと通過してしまうことになりますし、また相手の追加戦力にするという形にしてしまうと、やはり存在感が薄くなってしまうような気もします。然しそれでも、(1)や(2)に比べれば良い方法であると思われます。

 最高の形は(2)と(3)を臨機応変に使い分ける形だとは思います。ですが、敢えて言うのであればキャンペーンでは(3)、単発シナリオでは(3)をメインに時折(2)、が良いのではないでしょうか。
 キャンペーンではもちろんシナリオに組み込んでおかないと破綻してしまう恐れがあるでしょうし(敵が強大であればあるほど、かちあったらPCを捻り潰すことは容易になるでしょう)、またGMも「敵」の獲得を認めたからにはそれなりの努力をせねばなりません。
 単発でももちろんシナリオに組み込んでおくのが良いのですが、時間が無くシナリオが半端なまま見切り発車したり、そもそもシリアスに遊ぶ空気でないような時は、(2)でも構わないに思われます。


 さて、ここでちょっとした「ずるい手」があります。

 (4)頻度に対して不自然にならない範囲で、GM権限で登場をコントロールしてし まう

 スクリーンの向こうでサイコロを振った振りをし、うまく演技をしさえすれば、大抵のPLには気付かれません。GMはPLを楽しませる(更には、自分自身も楽しむ)事が役割なのですから、そのためにはこういった方法も選択肢に入れておくべきでしょう。ですが、流石に何度も使いすぎると、どうしてもほころびが見えてきてしまいます。くれぐれも、やりすぎないようにご注意を。
 「敵」の強さも、GMの実力行使も、ほどほどが肝心です。


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