PLに恨まれないマスタリング
D&Dの華は何か
と問われれば、十中八九「戦闘」と答えるでしょう。なんとなれば、PCは一攫千金を狙う冒険者であり、熟練した戦術家であり、血湧き肉躍る対決を求める闘士なのです。
しかしながら、自分より遙かに実力の劣る相手を瞬時に無力化するのは面白くありません。敵との対決は、危険に満ち、一瞬も気が抜けない、張りつめた戦いであってこそ楽しいのです。
かといって、やたらと強力なモンスタやNPCを出して、ただただPCを圧倒してしまうとPLに恨まれることになります。
そこで今回は、PLの恨みを買わずに、強力なモンスタ/NPCを出す方法をお教えしましょう。
弱点を持つ敵
最も簡単な方法です。PCの前に現われたモンスタは非常に強力で、正面から戦えば簡単にPCは撃退されてしまうものの、相手の弱点を突けば比較的容易に倒すことができる、という場合です。
DM:「フハハハハ。貴様らのような蛆虫冒険者が、ありとあらゆる既知の魔術を知り尽くしたこの大魔術師様に勝てるわけが無かろうて!!」
PC:「Anti-Magic Fieldをキャストしてその魔術師に組み付きます」
逃げられる敵
戦ったら勝てない敵が出てきてしまっても、その敵からの逃走が、物理的にも精神的にも可能な状況で戦わせる方法です。この状況でPCが戦って負けたならば、それはDMを恨むべき事柄ではなく、PLが自分自身の判断を悔いるべき状況なのです。
撤退も立派な戦術・戦略であると考えましょう。
DM:「君達の前に10立方ft.もあるゼラチナス・キューブが現われた」
PC:「不味い。俺達に勝てる相手じゃないぞ。そうだ、さっきの扉は5平方ft.しかなかったよな? あの奥に逃げれば大丈夫だ」
沢山財宝を持っている敵
非常に強力で、正面から戦えば全滅の可能性も高いというモンスタでも、それが魅力的な財宝を持っていればPLは納得の上で戦います。例え戦闘終了後、 PCの多くが死亡してボロボロの状態であっても、眼前に目も眩むほどの金貨宝石マジックアイテムがあれば感謝こそすれ恨みなどしないのです!
DM:「扉を開けると、その広い部屋の床には、大まかに見積もって10000枚は下らない金貨、幾多の宝石、そしてそこかしこにマジックアイテムが転がっているね。その上に座しているのは……巨大なドラゴン」
PC:「(ごくり)……いいか、やるぞ」
逆に言えば
上記と全く逆の敵を出すとPLに恨まれる可能性は高いでしょう。弱点もなく逃走不可能で1cpの財宝も持っていない超強力なモンスタが出てきたら嫌ですよね?
DM:「悪魔めいた顔をした、巨大な5匹の猿は、素早く君達を囲むと一斉に片手を上げてHorrid WiltingをSpell-like abilityとして使ってきたよ。それぞれ15d8ダメージだから合計で75d8ダメージだね。何、奥に宝が見えないかって? なんで猿が宝物なんて持ってるんだよ」
PL:「DM……俺はこの巨大なルールブックでそのマスタという糞ったれなモンスタを攻撃します」