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2003年11月号

冬セッションのためのゲームマスターガイド

特集: 単発記事
筆者: sf

sfこと古谷俊一によります、冬場に寒冷地を舞台にしたセッションを遊ぶための簡便な案内記事です。

事前準備

冬を表現しやすい環境を作りましょう。プレーヤー環境、シナリオ舞台、向いているルールの選択。

冬を体感できる場所で遊ぼう

冬を体感することが必要です。そのためにも、寒いめの環境で遊ぶことです。風の吹き込み、戸板が吹雪でがたつくような場所は最適ですね。

まあその程度の寒さであれば、上着を着てストーブやコタツを囲んでいれば、十分に遊べます。すき間風で温か過ぎなくなるため、眠気も避けられます。頭寒足熱。

寒冷地をシナリオの舞台にする

寒い状況に触れられる環境を用意したら、PCたちも寒い目にあわせてあげましょう。雪の山荘で雪女、南極で狂気山脈の探検、氷結惑星での難破彷徨などなど。どれも小説が幾つもあるネタです。

寒さを演出できるルールを選ぶ

環境によるダメージや、行動制限、寒冷対策の道具類や魔法や能力の豊富なシステムを選ぶのが良いでしょう。寒冷地に特化したモンスターなどのデータがあるのも望ましいでしょうね。

次善の策としては、現実の寒冷地の実情や対策についての知識を総動員し、ハウスルールをでっち上げてしまうのも手です。

寒さを演出できるシナリオや遭遇

寒冷地、寒冷気候で遊ぶ意味のあるようなイベントを、色々と考えてみましょう。

危機的状況を作る

ルールにのっとって、あるいはデータリストから探して。寒冷地ならではの制限、遭遇、危機的状況などを用意しましょう。

危機のなかでの行動や優先順位は、個性を表現するうえでの便利な手段ですから。このような状況的な危機は演出で遊ぶのにももってこいですよね。

寒冷地ならではのトラップ

クレパスや雪の吹き溜りによる天然の落とし穴、防寒対策に対する自然現象や動物などによる破壊工作などは、トラップ的に利用しやすいでしょう。

セッション中の演出

寒さは比較的演出しやすい刺激だと思います。

皮膚感覚を伝えよう

単に「寒いよ~」と言うだけでは、なかなか伝わりにくいものです。そこで、PCに対して「寒さを感じたということを明示的に」伝えるようにしましょう。なんらかの危機への対処の判定のあとに行なうと効果的です。

伝わりやすくするためには、身近な感覚を用いると良いですね。服の隙間に雪が入り込む、汗が冷えて服がガチガチになる、靴の中で雪が溶けて音を立てている、寒さに指が曲がりにくい、息を吐くたびに口元に細かい氷がつく、などです。

守りを揺るがそう

吹雪を締め出す戸板や窓、わずかに面したところだけでも暖まれるたき火やストーブ、降雪から身を守る屋根。そういったものが軋み、ゆらぎ、そして寒さが襲うというのは、実体験でもあることだけに実感しやすいものです。

寒冷地に適応した敵の兆しとしても利用できます。

事例

山寺で正月を向かえようと車で向かう一行。しかし坂道の途中で降雪によりスリップ、にっちもさっちも行かなくなる。山寺に案内を頼み徒歩で脱出、金堂にて暖を取るうちに、外は吹雪と化していた。

……のはシナリオのオープニングでなく、セッション環境だったりしたわけですが。こういう環境で、現地を舞台に雪女モノなんぞをやりますと、なかなか楽しめます。指差しながら、あそこが軋んで雪が入り込んでくるだとか、このストーブがすっと消える、とかやるわけですね。

寒さというのは身近でかつ色々と工夫しがいのある「環境」だと思います。たまには、試してみてはどうでしょうか。


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