2003年12月号

市販シナリオ活用方法~ 危険水域 を遊んでみよう!~

特集: 単発記事
筆者: LIST

 今回はシナリオ作成特集ということですが、私は市販シナリオを実際のプレイで使えるように噛み砕いていく過程を紹介してみたいと思います。

 今回はHJ社から出たD&Dのシナリオ集 「セブン テイルズ オブ アドベンチャー」 の中でも特に評判の高い “危険水域” を例に挙げますが、内容のネタバレにはならないようにしますので安心してお読みください。
 市販シナリオ活用の際の大原則は、変えすぎないことです。何をやるにしても変えすぎないことを心にとめましょう。
 では、私なりのやり方をご紹介していきますね。

作業の順番

1:内容をチェックしよう
2:キャラクターと小物を作ってみよう
3:作ったものでチェックしよう

1:内容のチェックに付いて

 私は次の4つをチェックしています。
・対応LVと人数のチェック
・登場モンスターのチェック
・マップのチェック
・シナリオ内容のチェック

 この4つは相互に関係していますから、いちど全部を通して読んでみて、お互いの関係を繰り返し確認することになります。
 もし気に入らない内容だったら、あっさり見切りをつけて違うシナリオを探すのも一つの正解です。趣味ですから、楽しめるようにやりましょう。
 D&Dシナリオの場合、対応LVと人数は東スポ的にウソですので、他の3つのチェック結果から自分で決めなければなりません。

対応LVと人数のチェック

 今回のシナリオは5~6LVの4名が推奨で、人数やLVを上げる場合はモンスターを増やすように指示されています。
 私がDMした感じでは、強いPCなら、つまり32ポイント式で作ったPCなら、5LV5名でモンスター数に変更なしというのが適切なようでした。
 PCが余り強くない場合、6LV5名でモンスターに変化なしというところでしょうか。
 ポイントは、敵の数と、シナリオ的/地形的な制約、そして敵味方共に使用可能な呪文LVです。
 D&Dでは奇数LVで使用可能な呪文レベルが上がりますので、偶数LVから奇数LVに上げたり、逆に奇数LVから偶数LVに下げる際は注意が必要です。

登場モンスターのチェック

 能力をよく確認し、能力を使った場合どのような結果が出るか、手持ちのキャラで試してみてください。これはゲームシステムを問わず有効ですし、D&Dでは特に役立つ手法です。
 今回のモンスターの場合、戦闘の長時間化が見込まれるので、シナリオとの関連をよく確認してください。
 これもD&Dに限りませんが、指揮官がいると長時間化を招き易いのでプレイ時の時間調整のネックとしてチェックしましょう。
 ボスは一見無敵に見えますが、マップに魔法の効果範囲を書き込んでみると穴が見つかりますので、魔法の効果とアイテムの効果をよく読んで下さい。
 こういった穴というか、ヒントとなるポイントは実際にマップに書き込みをすると見つかることが多いので、D&Dでなくともぜひお試しください。

マップのチェック

 シナリオの各部屋の説明とマップを照らし合わせて確認します。
 左右(東西)の書き間違いなどが見つかることがありますし、隠し扉などで近道が出来る場合があったりしますので、D&Dに限らずやってみてください。手を動かして書き込んだ分だけ、必ず得るものがあります。
 今回のシナリオの場合、明かりの数と照明範囲が重要になりますのでマップに範囲を書き込むことをオススメします。
 魔法感知や邪悪感知の重要度も非常に高いので、マップ上での位置関係には注意してください。最初に魔法使いのプレイヤーだけでなく全員に魔法感知の説明をした方が良いでしょう。
 ちなみに、最初の部屋のドアが書き忘れられていますので書き足しましょう。部屋の説明文にはドアの記述がありますので単なる書き忘れだと思われます。

シナリオ内容のチェック

 開始直後に明らかになりますが、このシナリオはある程度の時間制限があります。ですから上で書いたように戦 闘の長時間化やスキル判定の出目20ルールの使いどころが重要になります。どの行動にどれくらい時間が掛かるのか、プレイヤーによく説明し、PCがどう判 断して時間を使うのか考えてもらう必要があります。
 他には、事件の発端に関して 「どっちが悪いんだよ? 」と聞かれるかと思いますが、背景説明に書いてありますのでよく読んでおいてください。

以上について

 繰り返しますが、これらは相互に作用するので、LVだけとかシナリオの制約とかだけで別々に判断するものではありません。
 説明の都合で分割していますが、判断はそれぞれの要素を全部まとめて総合的に行ってください。
 頭の中で何周も何周もグルグルまわして、それでようやくある程度のまとめが出てくるというのが実際だと思います。慣れれば回す回数も減るのですが…

2:キャラクターと小物を作ってみよう

 以下のものを作りましょう。
・プレロールドキャラクター
・白地図
・DM用書き込み済みマップ
・ダンジョンタイル
・モンスターデータ覚え書き
・アイテム使用法の覚え書き

プレロールドキャラクター

 プレイ準備のなかで最も時間が掛かるのがここです。今回は5LVを7キャラ、一から作って用意したので、9時間ほど掛かっていると思います。一般装備品まで含めて全部書きました。
 32ポイント式で経験値は5%上乗せ、お金は通常。ルールブックで言う“強いキャラクター”に準ずるレギュレーションです。

白地図

 普通なら白地図を用意するのは大変難しいのですが、HJのホームページで提供されていますのでこれを活用しましょう。

DM用書き込み済みマップ

 これはシナリオにあるマップに直接書き込みました。トラップなどの書き込みがあるほうがDM用としては便利だからです。
 具体的には以下の書き込みをしました。
 明かりの範囲、魔法の範囲、部屋の中にいるモンスターの数、宝箱の位置、池の流れの速度(位置によって流れの速さが違うため)、こんなところです。

 白地図とDMマップの用意は実際のプレイをスムーズに進めるための最も大きなポイントですので、できれば毎回用意しましょう。

ダンジョンタイル

 これはD&Dのようなコマを使ってプレイするゲームには必須アイテムです。
 3センチ弱のマス目の書かれた厚紙をさまざまなサイズで用意し、マップの形に並べてその上でコマを動かすワケです。本当は1インチ(2.5センチ)ですが、大は小を兼ねるということで。
 私は昔のD&Dシナリオに付属していたものを切って使用しています。

モンスターデータ覚え書き

 今回のモンスターは特殊能力が地味に強力なので、データの覚え書きは必須です。バードの最大の見せ場である知識判定に関わるのでD&Dでは特に重要です。
 このモンスターは知力が割りと高い(少なくともそこらの戦士よりは高い)ので、PCがワナを潜り抜けてきたなら戦術立てて行動しないと不自然です。時間との折り合いを考えつつ色々工夫してみてください。

アイテム使用法の覚え書き

 今回のシナリオでは“アイテムの使用方法についてメモを渡すように”と明記されていますので、必ず渡してください。
 白地図の余白に書いてしまうのも良いでしょう。PL全員が活用方法に気づくようにした方がプレイとして良いと思います。

3:作ったものでチェックしよう

 プレロールドキャラクタの能力とモンスタやシナリオ上の障害についてチェックします。
 上でも述べましたが、敵味方共に使える魔法の影響を考慮しましょう。D&D3eで最も危険なのは高レベル呪文の巻物です。PCや敵より遥かに強力なモンスターを召喚されると手におえません。
 ダンジョンタイルも実際に並べてみます。見える範囲を一度に全部並べられなければなりませんからこの確認は重要です。明かりの範囲より魔法の射 程距離が短いということもないですから。また、明かりの範囲に足りなくても最低1手番分の移動力をフォローできないとタイルを使う意味がなくなりますの で、数には充分注意してください。

最後に。

 何度か書いたように、これまで書いた色々な事柄は相互に関係しますから、一通り考えてみた上で、それらを全部まとめて頭の中でグルグル回して考えなければなりません。
 慣れない内は何度も何度も回さないとまとまりませんが、マスター慣れ、システム慣れしていくことでグルグルの回数を減らすことが出来るようになります。

「なんか、自作した方がカンタンな気がしてきた」こう思ったアナタ、正解です。
 でも、この作業が出来るようになると、人に渡せるシナリオが書けるようになります。新しいシステムの把握が上手く速くなります。なんと言ってもマスタリングが上手く行くようになります。
 上手い人ほど、基本的な確認をサボらないものです。この中のいくらかでも、試してみませんか?


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