Warning: Trying to access array offset on false in /home/cre-ne-jp/www/trpg.net/wp-content/plugins/only-tweet-like-share-and-google-1/tweet-like-plusone.php on line 242

Warning: Undefined array key 0 in /home/cre-ne-jp/www/trpg.net/wp-content/plugins/only-tweet-like-share-and-google-1/tweet-like-plusone.php on line 229
2003年12月号

オンラインでも二時間で遊べる! 簡単シナリオ作成

特集: 単発記事
筆者: みぶろ

 語り部で活動しております、みぶろと申します。
 学園退魔もの西生駒口腔2003というシステムで、何度かGMをやらせていただきました。
 「短時間でさっくり、告知あり」でより参加しやすい体制を目指し、2時間 で出来るチャットセッションを実験的に行っているところです。
 というわけで、実施したセッションのゲームマスターレポートをば。

0.レポート目次

 このレポートは以下のような内容となっております。

 1.なぜ2時間なのか
 2.実際に流した告知と解説
 3.シナリオアイデアは「解決すべき状況」さえあればよし
 4.アイデアがシナリオになるまで
 5.たったこれだけでセッションに挑む:完成シナリオ実例
 6.実際のプレイはどうだったか
 7.よりよい2時間セッションのために

 なおシナリオ作成に無関係の事項については、省略した形となっております。

1.なぜ2時間なのか

 オンラインセッションには時間がかかります。
 一般にはオフ卓の3倍とも言われますので、通常のセッションであれば、4~6時間かかることもざらです。
 これではきつい。しかし、キリのいいところで次回持越しとなると、意欲やメンバー集合の点で難しくもあります。
 平日にさっと集まって日が変わる前に終わる。それが出来れば、「人が集めやすい」というオンラインの利点を、目一杯活かせるのではないでしょうか。

 そこで、2時間で終わらせるレギュレーションを作成し、運用してみました。
 GMはラストに誘導するのではなく、状況とゴールを明示するだけ。プレイヤーに主体的に頑張ってもらうという手法です。

2.実際に流した告知と解説

 今までとは違うやり方を試すわけですから、事前にプレイヤー達にそのことを知らせる必要があります。
 ……まあ、GMが少ないから、わがままが結構通るんですけどね(口笛)。
 ともかく、日時を指定してプレイヤーを集める告知効果と、こちらの姿勢をうちだすために、セッション予定日と内容をメールで知らせました。

 実際に、サークルのメーリングリストに投げたメール2通は以下のとおり。
(本論に関係ない部分は割愛しました)

『セッション強化月間』

 12月毎週水曜日22-24時をみぶろ指定タイムとし、セッションを行います。とりあえず、3、10、17日。
 参加希望者は、希望日と使用PCを書いて告知メールにレスしてください。

◇セッション概要
 2時間で確実に終わります。(終わらなければミッション失敗です)
 #以下割愛

『セッション告知12/10』

 12/10(水)
 22~24時でセッションを行います。

 生徒会からの依頼です。
 「陸上部員が何度も異界にとらわれてます。数時間で戻ってきますし、実害
 は無いものの、エスカレートする可能性があります。原因を探り、再発を防
 止してください」

 とらわれたことのある陸上部員は
 泉 潤(いずみ じゅん)   2-4
 菅原直人(すがわら なおと) 2-4
 の2名。この1週間で4度とらわれ、いずれも2、3時間ほどで解放されて いる。原因は不明。

告知内容の解説

 まず、2時間で確実に終わらせるために、2時間経ったらタイムオーバーとしました。タイムオーバー=ミッション失敗です。

 セッション内で時間制限を加えることはよくあると思います。(例:3日以内に解決しないと、悪霊にとり憑かれた依頼者が死ぬ)
 そうではなく、実時間で制限を加えることにより、プレイヤーにラストまで持っていく動機を持たせたわけです。
 これにより、プレイヤーは、キャラクターのリソースだけではなく、時間というリソースも気にしながらプレイしなければなりません。GMにつくられた予定調和ではなく、失敗もありうるゲームとしての性質を強く出してみました。
 もちろん、うまくプレイして余裕ができれば、それだけキャラクターの演出もしやすくなりますね。
 
 次に、告知の中に、依頼情報をある程度出しております。時間短縮のためですね。依頼するところからだと、内容説明だけで30分はかかりますから。
 セッションでは、「状況は以上です」からスタート。プレイヤーは、依頼人から詳しく聞きだすか、MLの手がかりを元にいきなり動き出すか選択。

 ここでは載せませんでしたが、キャラロストの可能性やセッションに対する姿勢、シナリオの方向もあわせて告知しました。これはプレイヤーの要望でもあります。
 キャラの性格によっては予定を調整してでも参加したいシナリオもあるでしょうし、この規定ではちょっと嫌だなと思ったら参加しない選択もできるというのは、プレイヤーにとって大きなメリットでしょう。

 ↓「セッション強化月間」メール全文↓ http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/26900/26975.html

3.シナリオアイデアは「解決すべき状況」さえあればよし

 学園退魔西生駒には、シナリオランダムジェネレーターがあります。
 ランダムに振った物をいくつかあげてみます。

『挙動不審の国語教師の目撃証言が続いている。原因を解明し出没を防止して欲しい』
『バスケットボール部員が悪意に影響された付喪神によりぼーっとするようになった。原因を解明し再発を防止して欲しい』
『体操部員が蠢く煙により大切なものを捨ててしまうようになった。原因を解明し再発を防止して欲しい』
 
 こんな感じで事件・被害者・表面的な原因等がおおまかに出てきます。
 学園退魔モノらしく、生徒や教師が化け物っぽいものと絡んでますね。
 後は真相を考えるだけです。一番目のものなら、なぜ挙動不審だったのか、この教師は幽霊かもしれない、あるいは目撃者が幽霊兼依頼人で……等々。
 真相は、あまり意外なものを作ってしまうと、伏線を用意する必要があるため、時間がかかってしまいます。なんせ2時間です。凝ったことはできません。変わった状況を思いついたらそれでよしとしましょう。
 解決すべき状況と提示すべき情報。これさえ用意すればスタートできます。

 例えるなら、サッカーの試合をフルタイムでするのではなく、ゴールまで30メートルの地点からフリーキックでスタート。ゴールできれば勝ち、みたいな。

 ちなみに、今回のセッションで使ったランダムネタは、
「カメラ片手の写真部員を見たという自転車部員が行方不明となった。原因を調査して復帰させて欲しい」
 でした。
 次は、これがどうシナリオになったか、見ていきましょう。

4.アイデアがシナリオになるまで

 それでは、実際に私が、上のランダムネタからどうシナリオを膨らませたか、思考の過程を書いてみます。
 
 カメラ・行方不明、という点から、魔法のカメラで封印というネタが出てきました。行方不明のままいなくなると話が大きくなるので、何度もいなくなるけど、帰ってくる、ということにします。
 そこで、何故そんなことになるかを考えます。部員のせいで部員がいなくなる、という点を使い、「うまいやつがいなくなれば、自分がレギュラーになれる」と考えた生徒が、先生の不興を誘うために練習時間だけ封印したとしました。カメラですから写真の中におさめ、人気の無いところに放置。カメラは偶然手に入れたことにし、犯人生徒自体は障害としません。
 これで一応、状況とゴールが見えました。捜査に手間取って時間切れになれば、被害者がレギュラーをはずされるという不利益で、タイムオーバーの理屈もつきましたね。

 次に、このセッションをクリアするために必要な事柄を整理します。
 ・魔法カメラの破壊
   →魔法カメラの存在を知ること
   →使用現場を押さえる。痕跡感知からつかむ。
 ・犯人の特定
   →被害者が特定していることから調査。
   →状況証拠だけ提示してあたりをつけさせる。
 
 さらに、これを達成するための障害を設定。
 ・魔法カメラとの戦闘
  →戦闘能力の設定。短時間で終わらせるために、防御力を薄めに。
 ・魔法カメラの所在を調べるための難易度
 ・犯人を割り出すための調査難易度(技能が無くても、時間をかけて聞き込
 みをすればわかる)
 ・どこを調べるか、誰に聞くかの設定。さらに、調べるべき場所のヒント。
  →生徒会・被害者・部員・先生・被害者の友人・事件のあった場所・下駄
  箱(カメラのありか)

 セッションを解決するには、Aをする必要がある→AをするためにはBを知らなければならない→Bを知るためにはCをしなければ……
 この連鎖が短いほど、わかりやすいシナリオになると思います。逆に長いと、達成感が得られやすいかもしれません。ただ、ダレたり、なにをすればいいかわからなくなったりします。(DQ2でサマルトリアの王子を探すのに苦労した人も多いのでは)
 今回はCまで設定しました。
 Aだけ提示して過程を楽しむ方法も試してみてはどうでしょうか。

5.たったこれだけでセッションに挑む:完成シナリオ実例

 実際に行ったシナリオで用意していたメモです。

**********************************************************************
 異界に閉じ込められるのは数時間。おおむね放課後~19時ごろまで。

 怪異:「シャッター」
    古いカメラの変異物。「写真を撮られると魂が抜ける」という俗説か
   ら生まれた。写真の中に人間を封じることが出来る。写真を傷つけると
   中の人間も傷つく。

 技能:異界封印15 存在がわかりにくい13
 特殊フィルム・フィルム巻き時間あり・暗闇では写せない
 秋田の下駄箱に入っている。感知判定一発で割り出すのは至難。 

 犯人:秋田 陸 陸上部員。泉と菅原のせいで常に3番手に甘んじ、大会の
   選手になれない。偶然「シャッター」を入手する。恨みというほどでも
   ないが、二人がいなければ自分が選ばれるだろうという安直な思いから
   犯行。特殊技能なし。

 被害者:菅原直人、泉潤 才能ある陸上部の短距離走者。それなりに仲良し。
    得られる情報は同じ。「シャッター」で封印されることが続いて、部
    活に出られなかったので、顧問教師の不興を買っている。記録会に出
    してもらえるか心配。

 「変なカメラ持ってうろうろしている」
 「秋田は3番手で大会に出たがってるが、二人がいる限り無理だ」
 この情報が出揃ったら、秋田が泉を閉じ込める事件が発生。その前に秋田を問い詰めて解決してもいい。 **********************************************************************

 たったこれだけです。もちろん、メモに書くまでもない事柄や書きにくい曖昧な情報はありますが……。
 判定難易度や敵の詳細な能力は(私の場合)必要ありません。
 それより、動機や行動のつじつまをある程度明記することで整理し、事件の全体像を自分の中で確立するためにメモします。これによって、思っても見ない注文にも答えやすくなる気がします。

 メインルートは、被害者への聞き込み(レギュラーでもうすぐ大会であることの情報提供)→犯行現場の痕跡感知(技能判定で器物を使った犯行との情報)
→部員への聞き込み(技能判定で被害者のために補欠である人間の判明)→容疑者監視→容疑者が次の犯行→現場を押さえて戦闘(手間取ると、被害者を人質に取られる)
 サブルートとして、カメラの所在を直接調査。この場合、戦闘はないものとする。(器物なので操作する人間が必要)

 基本的にメインルートの判定は容易に成功できるようにします。そのかわり、調査の進度によっては、タイムオーバーの危険があるという形です。なお、サブルートの判定は難しめにしておきます。

 後でわかったことですが、部員への聞き込み捜査を行わない場合、容疑者候補が出てこないので、わけがわかんなくなるのですね。

6.実際のプレイはどうだったか

 実際のプレイでは、依頼者と被害者への聞き込みに1時間かかっています。
 そして、1セッションに1回だけ使える「生徒会の助力」というカードを切って、午後の授業を休み、校内を捜査するという行動に出ました。
 しかしながら、真相に近づくためには「部員への聞き込み」が必要なため、逆効果となってしまいます。なまじカードを切ったために、学内のいろいろなところを探してしまい、時間を使ってしまいました。(カメラを直接探すヒン トにはなったが)
 結局、犯人に関する情報がないまま、残り30分。プレイヤー達は、捜査をカメラの所在に絞り、異能力を行使します。しかし、カメラの所在を探し当てる直前でタイムオーバー。ミッション失敗となりました。

7.よりよい2時間セッションのために

 実際のプレイで明らかになった、シナリオの難点と改善点を列挙しました。
 2時間セッションでなくてもありがちな罠ばかりですね。

 ◇絶対やらなければならないことを複数設定したために、膠着してしまった。
 →アプローチ数を増やす。

 単純ですが、基本的なことだと思います。解決の絶対条件は少ないほうがいい。そして、前提条件を重ねるのは、例外的なシナリオのみとすべきでしょう。

 また、これはマスタリングに関してですが、重要でない情報やアクションに対しては、はしょって説明し、プレイヤーに間接的に知らせてもいいかもしれません。

 ◇見込み時間の甘さ
 →すべてを知っている視点でプレイし、1時間で終わるくらいが適当ではな
 いかと思います。今回は最善手を打ってもぎりぎりだったかもしれません。
  
 ◇謎解きの難しさ
 →真相に至る難易度は簡単に。高い難易度で手に入る情報は、よりよい解決
 法(戦闘回避・弱体化・ハッピーエンド等)のためとすべき。

 別の日に行われたセッションでは、真相に至る手がかりをたくさん用意したものの、それらの判定難易度が高かったために苦しみました。短時間であることを、GM も実感していなかったようです。

おわりに

 いかがでしたでしょうか。
 素人文芸サイトなぞを持っているので、意外な真相や盛り上がりそうなシナリオを思いついたら、サイトのネタに持って行きたくなります。そのせいか、GMとしては、ひねりのない話を無味乾燥に進める性質です。
 ですので、シナリオ集に載ってるような整ったシナリオの手持ちはまったく無く、「プレイヤーはつまんねぇだろうなぁ」と思いつつマスターしております。いい話を思いついたら誘導したくなりますし。
 特定のラストに誘導する気が無ければ、GMはずいぶん楽な稼業だと思います。GM経験のない方は、ウェブジンの他の記事を参考にしつつ、是非挑戦してみてください。その経験は、プレイヤーをするときにも役立ちますよ。

文責:みぶろ toukaen@khaki.plala.or.jp http://www.cre.jp/user/miburo/


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)