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2004年09月号

プレイリポートの達人

特集: 単発記事
筆者: 死せる詩人

はじめに

 私は今まで沢山のプレイレポートを書いてきた。その数は1024個にも及ぶが、大変遺憾な事に、私の文才溢れるプレイリポートを大量に公開する事によって、自社の製品が売れなくなる事を恐れた某社から依頼があったので、その殆どを公開しない決定を下した。その結果、現在公開しているものは、私の書いた全プレイリポートの内、最も面白くない40編足らずに留まっている。

 偉大なるガイギャックスの顰みに倣い「プレイリポートの達人」と題して、健筆を誇る私が、多くの人に面白いと評価され得るプレイリポートの書き方を諸君に伝授しよう。

行間を制覇した者は文章を制す

 面白いプレイリポートを書くのは簡単である。
 そもそも「面白い」とはどういう物なのだろうか。感涙に咽ぶ感動的な叙事詩も面白いと評価できれば、抱腹絶倒のコメディも面白いし、巧みなルール運用とその叙述に面白味を感じる人もいるだろう。これら全ての「面白さ」を詰め込むのは難しいと感じるかもしれないが、実は意外と簡単なのである。要するに行間を読者に想像させればよいのだ。

 なんとなれば、面白いのは行間なのである。行間に諸君が最も面白いと思うジョークが書いてある所を想像してみよ。それ、ほら、笑えるだろう。本当は企業秘密にしたい所だが、これは考え得る限り最も面白いプレイリポートの記述法なのである。なにせ、読者本人が最高に面白いと思っているジョークよりも面白い存在なぞ、その時点では宇宙広しと言えど1つたりとも存在しないのだ。論理的に言っても、これより面白いプレイリポートは創造不可能である事が明白である。
 このように私の書くプレイリポートは、それぞれの読者の個性に合わせた、多彩な面白さに満ちているのである。想像に難くないと思うが、私の書いたプレイリポートを読んだ人間は、例外無く感動に咽び泣いたり、抱腹絶倒したり、巧妙なルール運用の妙に感心したりする(そうでない人間は読者と言えない)。私の筆力が伺えるというものである。

 で、あるからして、この叙述法では行間の幅は重要な地位を占める。よってHTMLとしてマークアップすると仮定するならば、line-heightの設定を行ない行間は最低でも300%程度確保した方が良い。さすれば読者が行間を読む余地が増え、結果的にプレイリポートの面白味が増大する。

 このような完璧と言っても過言では無いプレイリポートにも、数少ない弱点がある。

 この叙述法の正否は、行間に強く依存している。従って行間が無い文章を書いてしまうと、面白味が激減するのである。例を上げよう。

 2004年9月25日快晴、セッション日和だ。

 あにはからんや、上記の文は面白くない。当然である。上の文はその文字数の為、多くの環境で一行に表示されるであろう。即ち行間が無い。これでは読者が想像を膨らます余地が無いのである。なんとなれば作者の筆力、文章力によって面白味を付与しなければならず、そんな些末な事に労力を使っていてはオチオチ次のパラグラフに移る事もできない。いわんや新しいプレイリポートを書くなんて事は以ての他の仕儀となる。

 しかしその弱点を逆手に取る事もできる。例えば、1行当たりの文字数を減らし行数を増やす。そうすれば必然的に「行間」に当たる部分が増える。本論に従えば、それは即ち面白味の増大に他ならない。可能ならば1行当たりの文字数は1文字にすると良い。これは考え得る限り最大限に行間を取れる設定である。


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