2004年01月号

D&Dとの出逢い

特集: ダンジョンズ&ドラゴンズであれこれ
筆者: 死せる詩人

この連載記事の題名は「D&Dであれこれ」であるからして、「TRPGはじめて物語」特集だと云われてしまったからには、今や共に蜜月の時を過す事になったD&Dとの出逢いを語らねばならないでしょう。問題はそんな事を徒然に書き記した所で、これっぽちも面白く無いという厳然たる事実。さてはて、どうしたものやら。

はじめに光ありき

 僕とD&Dとの出逢いは唐突でした。
 中学生の頃でしょうか。ある日、友人とゲームセンタで遊んでいる時、僕達は”彼”に声をかけられたのです。

(私と一緒に面白いゲームをしないかい。格闘ゲームなんかより楽しいし、安い金額で長く遊べるよ)

 ”彼”に誘なわれるまま、ついて行き案内された卓には大きな文字で「DUNGEONS & DRAGONS」と書かれていたのを鮮明に覚えています。

 参加費という事で100円を払い、なんだか訳が分から無いまま、目の前に置かれたルールサマリを読み、必要な事柄を頭に叩き込みました。まずはキャラクタを選べと”彼”は言い、ファイター、クレリック、マジックユーザー、シーフ、ドワーフ、エルフ、それぞれの特徴を教えてくれました。

(格闘ゲームと同じで、このゲームのキャラクタにも、それぞれ長所と短所があるんだ。自分がプレイしたいキャラクタを選べば良いよ)

 幸いドラゴンクエストやらで、ファンタジィゲームに関する基礎教養はあったので、辛うじて説明を理解し、僕はファイターを友人はドワーフにしました。

ホットスタート

(冒険を終えた帰路の途中、君達が歩いていると街道の向こうから絹を引き裂く様な悲鳴が聞こえた)

 ゲームはホットスタートでした。右も左も分から無い僕達がパーティを組んで歩いていると、近くから悲鳴が聞こえ、気付くと悲鳴の主を助ける事になっていたのです。

(君達が駆けつけると、そこには身長1メートル程で褐色の汚い肌をした何匹ものゴブリンが、女性を襲っているのが見える)

 兔に角眼前に迫ったゴブリン達を退治しなければいけません。さっき覚えたばかりの要領でキャラクタを操り、四苦八苦しながらも何匹かのゴブリンを追い払いました。そうして、正式に村人から依頼を受け、迫り来るゴブリン団を討伐する事になったのです。

コンティニュー

 なにしろ始めてのゲームですから、プレイしていく内にキャラクタが死んでしまう事もありました。僕達が初心者だったからでしょうか”彼”は親切で、すぐに新しいキャラクタで登場する事を許してくれました。都合、2回は死んだでしょうか。手に入れたアイテムを使う事すら思い付かなかったなんて今思えば馬鹿だったものです。

(何もせずに見ているだけじゃ、つまら無いだろうから、新しいキャラクタを作って参加して良いよ。さっきとは違ったキャラクタを選んでも構わない)

 這々の態でボスの所に到着すると、そこに表われたのは戦車に乗ったゴブリン達! 縦横無尽に戦場を駆るチャリオットは、初心者の手に負える相手ではないかと思われましたが、その頃には何とかアイテムを使う事も覚え、仲間と一致団結してボスを倒す事ができました。

(おめでとう! ゴブリン戦車が倒壊したのを見た残党達は散り散りに逃げていった。そして、村人が君達の所へきて口々に感謝を述べていくね)

ミスタラを覆う影

 すっかり”彼”の虜になった僕達は、何度もそこに通い毎回100円払って何度も遊びました。現在では自他共に認めるD&Dマニアな訳ですが、今でもあの時プレイしたゲームを忘れる事ができません。そう「DUNGEONS & DRAGONS -SHADOW OVER MYSTARA-」を。


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