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2003年01月号

君の名は

特集: ダンジョンズ&ドラゴンズであれこれ
筆者: 死せる詩人

 少し古い話をしよう。僕がAD&D2ndに夢中だった頃、とあるキャンペーンで僕はローフル・グッドのクレリックをやっていた。
 とあるダンジョンに潜っていたときのことである。いろいろあって僕のキャラクタは死んだ。死ぬこと自体はしょっちゅうあるし別段驚くことでもない。お金払えば復活するし。
 しかし、僕が死んだのはダンジョンの半ばでまだまだ戦闘が激化するのはこれから。パーティの皆もクレリックを必要としているし、何よりプレイヤの僕が暇だ。それを憂いた優しいとあるプレイヤの人が、頑張って僕を直ぐに復活させる算段をしてくれた。

 ところでAD&Dには二種類のリーンカーネーション呪文がある。片方はメイジリンカと呼ばれているもので人間やエルフ、オーガ、ミノタウロスなどに転生する。もう片方はドルイドリンカと呼ばれるもので人間やエルフ、熊、狼、鹿などに転生する。
 通常リンカといえば、冒険者の間ではメイジリンカの事を言う。なぜならメイジリンカの行き先は所詮悪くてもオーガ程度なので冒険を続けるのは容易だからだ。流石に鹿じゃあダンジョンには行けない。

 で、復活する算段をしてくれた。方法はリンカだった。僕は「よし、頑張って人間とかエルフとかドワーフに転生できるように神に祈ろう」と思ってダイスを振った。値はいくつだったか忘れたがマスタに告げると、こう言われた。

「じゃあ、鹿」

 僕は鹿になった。
 その後は破れかぶれで哀れな子羊ならぬ子鹿のままダンジョンに潜り、何故か扉をくぐったら星界に飛ばされドラゴンがいたのでチャージしたらまた死んだ。でまた頑張ってくれたプレイヤがいて、リンカした。今度こそは「人間かエルフかドワーフ!」と強く念じてダイスを振って、マスタに告げた。

「じゃあ、熊」

 僕は熊になった。
 そのあと、ダンジョンの最後で「デック・オブ・メニィシング」というアーティファクトを発見した。これは要するにタロットで、引くと絵柄によって良い物から悪い物まで激しい効果があるという物だ。中には「魂の牢獄に囚われ、如何なる方法でも救出できない」とか書かれているものもある。
 どうせ僕の余生は熊なので、何があっても怖くはない。勢い勇んでデックを引いた。すると、

「これはアライメントチェンジだね。あなたはケオティック・イビルになりました」

 僕はケオティック・イビルの熊になった。
 もうこれはモンスターである完全無欠に言い訳の余地無く。目が血走って暴れ回る熊がいたら倒すだろうみんな? 僕もそう思う。

 結局、アライメントは呪文で直したけれどまだ僕のクレリックは熊のままだ。


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■死せる詩人さんの「Dead Poet Society


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