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2003年10月号

オンラインTRPGに思うこと

特集: 単発記事
筆者: アキラ

最初に森の木陰亭でセッションやった感想

 TRPGがテーブルトークRPGである以上、テーブルを囲んで顔をつき合わせながら遊ぶものだと、私はずっと考えてきました。Web上でTRPGを遊ぶ、という動きは以前から知っていましたが、どこか自分の中で否定し続けていました。いつもTRPGを遊んでいた身内でチャットセッションが企画されたコトもありましたが、タイピングスピードの差によって会話が前後してしまったり、レス待ちの時間があまりにも長すぎて、退屈してしまう事が多かったのです。なによりWebでプレイするという事は、TRPGを遊ぶ上で得られる臨場感や高揚感が希薄になり、物足りないというのがその時の印象でした。

 そんな私が「森の木陰亭」というチャットセッションのサイトに出入りするようになったのは、家庭的事情も絡んでそれまでのTRPG仲間達と、遊ぶ事が不可能となったからでした。チャットでTRPG、と検索すると、今では色々なサイトを発見出来ます。その幾つかを覗いてみたり、実際に参加してみたりもしましたが、先に書いた不満点を覆す様な場所はありませんでした。そんなわけで、何カ所ものサイトを出入りした挙げ句、辿り着いたのが「森の木陰亭」でした。
 最初は、規約の多さに引いたりもしましたが、TRPGで遊びたいという願望の方が強かったらしく、「談話室」へと参加しました。キャラクター作成を手伝って欲しいと頼むと、数人の方から素早いレスを戴き、念願かなってキャラ作成も無事終わりました。
 キャラクターの登録が終了するまで多少時間はかかりましたが、その間も「談話室」で色々お話を聞き、参考とすることが出来ました。また、自分の都合に合わせて参加出来るという面もありがたく感じられたひとつ点でした。

  キャラ登録も無事に済み、いよいよ初セッションの日を迎えました。PLは2名、シティアドベンチャーが組まれたシナリオでした。幾つかのサイトで度々見かけた、各種ダイスチャットに比べるとシンプルな「遊戯室」でしたが、慌てて誤操作する事が少なくなかった私(この事も、WebでTRPGを遊ぶ際に快適に思えない理由のひとつでした)にも使いやすく、板そのものも「重く」ないので、コンピュータへの負担になりません。
 セッションの進行そのものもスピーディでした。その時のGMさんが上手だったので、キャラクターとしてNPCと会話するのも、十分に楽しめました。セッションにかける時間に比べ、内容が伴わない、薄いシナリオしかWeb上で経験したことの無かった私にとって、初めて満足出来る結果を得られた瞬間でした。セッションそのものは延長可し、初めての参加にしてイキナリ「準遠征」を経験してしまいましたが、その分キャラクターを作り込む事が出来た気がしていますので、この事には感謝したいぐらいでした。

 不満が全く無かったといえば嘘になりますが、少なくともそれまで感じていた「遊びずらさ」は随分解消された思いがしましたし、ココでなら「色々苦労しながらでも、参加していきたい」という気持ちになりました。もう出来ないものだと感じていたTRPGを、再びプレイする機会を得られる事となったのです。大袈裟かもしれませんが、TRPGをする快感を伴わないセッションばかりをWebで経験していた私にとって、「森の木陰亭」は実に手応えのある、もまれてみたいサイトでした。ここで認められる様になれば、少しは腕も上達するのではないか、とすがりたくなる気分もあったかもしれません。

これからの展望、予想と期待

 RPGというジャンル、特にファンタジーのコンシューマゲームは随分と人気があるのですから、TRPGももっともっと盛り上がっていけるのではないでしょうか? 実際、コンベンション会場やネット上でのPLさん年齢は、ワリと幅広いものになっている様に感じます。これは、私と同年代のTRPGを「知っている」人間が、年と共にスライドしていくだけなのではなく、より若い人々もTRPGに興味を持っている証拠だと思っています。それ故に、インターネットというこれ以上ないツール上で展開している「森の木陰亭」を初めとする、Webセッションを取り扱ったサイトにも、加入者・参加希望者が増えて行くのではないのでしょうか? 期待しすぎているかもしれませんが、インターネット故に彷徨い込み、TRPGという遊びを初めて知った、という人もこれからはどんどん出てくると思います。

 ルールブックがないと遊べない事も確かですが、今ではネット販売やオークションなどでそれらを手に入れる機会も増えていますから、昔ほど「遊びたいのに遊べない」状態ではないと言えるでしょう。なにより、Webセッションを取り扱ったサイトが増えていけば、それだけ自分にあったサイトを選んで参加する事も出来ますし、より幅広いTRPGライフへと繋がっていくと思います。

 オンライン上のTRPG人口が増すということは、それだけオフでTRPGで遊ぶ機会が増え、システムが新発売されたり、サプリメント発売のきっかけへと成り得るのではないでしょうか。

  PLとして参加するには、どうしても真夜中開催のセッション以外を選ばなくてはならず、GMとなり、自分の都合の良いタイミングでPLさんに集まって貰う事が少なくありません。あえて他の人があまり開かない時間にセッションを開いて、真夜中に開催されがちだったWebセッションのスタイルに、幅を持たらせられればいいなぁ、と企んでいます。夜はダメ、という人とも一緒に遊べる様になれば、サイトも更なる賑わいを見せることになるハズですから。そして、一緒に遊んで戴いたPLさん達に様々な感想を言って貰うことで、自身の成長に繋げたいと考えています。
 同時に、愉しくGMしてみせる事で、「自分もGMに挑戦してみようかな?」という気にさせられればいいな、と期待しています。それは正に、GM冥利に尽きるというものです。GMもPLも両方いないとTRPGは遊べないですし、GMにはGMならではの面白さがあります。これを知らない人は、不幸だとすら思うのです。

そして要望

 ゲームである以上、TRPGで遊ぶ際にはルールに縛られる事となります。また、世代・地域・趣向といった “違い”があるにも関わらず、多くの人がサイトを通して知り合い、一緒に遊ぶ機会を得るというのは、それだけ主義や主張がぶつかり合うという事も意味しています。それぞれが、バラバラに経験してきたTRPGのスタイル、得た知識、その反映となる理論などを持って、セッションに望んでいると思います。だからこそ、ぶつかりあいも少なくないですが、時折「そんな言い方しなくてもいいのでは?」「なんでこういう言い方しか出来ないのだろう?」と思う発言を見かけます。
 例え、本人にその気はなくても、端から見ているとそうとれる事もあります。残念ながら、スタッフとして運営に関わっている人にこそ、そういう傾向が強いサイトもあるのが現状です。こういった点はそれぞれが自覚して、間違いの指摘の仕方などを研究してみるべきではないでしょうか?

  セッション中も、「あいまいな表現」「どうとでもとれる発言」「具体的でない内容」で足踏みしてしまった経験を持つ人も、少なくないと思います。全てを自分の言葉に置き換えなければ気の済まない、オカシなクセを持つ人も見かけます。押しつけるのではなく、理解して貰おうという努力……もう少し、他人の立場を考えてみる心の余裕を持って、セッションに望めるようになれば、随分と違ってくると考えますが、理想論過ぎるでしょうか?

 偉そうな事をいろいろと書きましたが、私が全て実行出来ているわけではありません。しかし、こうして投稿記事を書く機会を与えられて、改めて考えてみた事柄ではあります。
 いきなりその全てを実行する事は無理でも、少しずつ身に付けていき、成長していければいいのではないでしょうか? それぞれが自分なりの理想を持って、切磋琢磨出来てこそ、良いサイトとして発展してゆけるのだと信じています。TRPGの醍醐味のひとつに、キャンペーンなどを通して、キャラが成長していくことも含まれますし。
 ひとりのTRPGを愛する者として、自分に出来ることは何かを考えつつ、これからのセッションに臨んでいこうと思っています。


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