「基本プロットの構想メモ」で「ブルーローズ」情報過多を捌く
鍼原神無〔はりはら・かんな〕
『ブルーローズ』書誌情報
■■プロット構想からメモして情報錯綜を演出
現代冒険TRPG「ブルーローズ」(朱鷺田祐介、スザク・ゲームズ、エンターブレイン刊)に不慣れなとき、情報過多セッションをしょっちゅうやらかしました。
オリジナル・オーパーツのパワー(データ)や背景設定を先行して作り込みすぎちゃったり。
今だったら、イラクや北朝鮮みたいな話題的にホットな舞台での冒険狙って、あれこれ調べてる内に深みにはまったり。
おもしろがってシナリオ作ってる内に、つい情報過多セッション用(?)の困ったシナリオ作りがちです。
情報過多セッションは、長びきます。
セッション時間だけが問題なら、身内メンバーの間ではどうにか対処できますけど。
情報の出しすぎで消化不良が生じると、GMも胃が痛くなっちゃいます。
それでも、錯綜した情報に惑いながらの冒険は面白いんです。
学術財団の調査員が、眉唾なこと言うNPCとしのぎを削って超古代文明の手がかりを求める冒険。物語内のPCが情報錯綜に惑わなかったら、変なくらいですよね。
アタシが工夫した対処法は、情報の出し方を制御し易いシナリオを作る。
情報の重要度や優先度を「整理しながら」シナリオを作ってく。
これやると、セッションでも反応みながら情報の錯綜感をコントロールし易いんです。
プレイヤーさんにも、PCが惑う錯綜感を楽しんでもらってます。
ネタの仕込み段階から、情報整理をはじめましょう。
そのために「基本プロットの構想メモ」を書くことからスタート。これが、今回ご紹介するアタシのやり方です。
「基本プロット構想メモ」の次段階、シナリオの作り込みについては、いずれ機会があれば。
システムに慣れてけば、NPCやクリーチャー、オーパーツのデータを「構想メモ」に加えるだけでも、実際にセッションできるでしょう。
構想メモの後、シナリオ制作にどれくらい手をかけるかは、みなさん、プレイ環境での事情に合わせて選択していってください。
■■構想メモの大原則
情報過多の原因の一つは、パーツの作り込みすぎ先行。作り込みすぎたパーツを無理に使おうとすると、未整理な情報も乱れ撃ちするセッションになります。
セッションでのペース配分を、シナリオのプロット構成作って想定していく。
構成バランスを睨みながら、各パーツを少しづつ作ってくのが構想メモ段階の大原則です。
舞台背景、歴史背景、オーパーツデータ・設定、NPCデータ・設定、どれか一つを先行して調べる、仕上げるのに熱中しない。
常に構想メモの進展と比較して、調べすぎ、作りすぎにならないように注意。
調べすぎ、作りすぎになるくらいなら放置して、別パーツに手をかけましょう。
経験的には、「各パーツが6~8割できてきたかな(?)」って手応えの頃、シナリオ構成が固まった気になってきます。そしたら、やおらガシガシとシナリオを書きはじめるんです。
オーパーツ・データや舞台情報は、シナリオを書き上げてから再整理。マスタリング時に使い易いようにします。
■■構想メモを書きはじめる
■「一番やりたいこと」を最初にメモる
「基本プロットの構想メモ」は、どんなふうに書いてくか。 本文末尾に、サンプルを「付録」として挙げます。本文と読みあわせて、作業過程を逆算推定してください。
最初に「次のセッションで一番やりたいこと」をできるだけ短くメモ します。これは「基本プロット構想メモ」自体ではありません。
この「最初のアイディアメモ」は、目安として20文字程度からはじめて ゆきます。
アタシの場合、オーパーツからシナリオ考えはじめることが多いですけど。別にミッションから考えはじめても、クライマックス場面からはじめてもオッケー。
(あるいは、敵性NPCの組合わせから考えはじめたり、etc)
その辺、好きにはじめましょう。
例えば、「アスワンハイダム崩壊の危機」とか、「ロズウェルUFO、実は天使の卵」とか、「小型恐竜NYの地下鉄で大暴れ」とか、「崩れる地下神殿から脱出」とか、「誰某様の大陰謀」とか。
20文字前後で書けるアイディアなんて、こんなもんでしょう。
ちなみに、最後の「誰某様」ってのは、NPCさんだったり歴史上の実在人物だったりです。
ともかく、まず、思いついた「一番やりたいこと」を書く。
最初は、自分でも何の事だかよくわかりません(笑)。
並行作業をいろいろやりながら、最初のメモに手をいれてけば、その内わかってきます。
「最初のアイディア」は、できるだけ具体的な場面、出来事、場所、あるいはキャラクター(NPCやクリーチャー)と結びつけるのがコツ。
いくら一番やりたくても、「ワールド・ワイドに諸国を転戦」とか「アトランティス文明の謎」みたいな大まかさ、抽象度だと扱いきれないです。避けましょう。
■最初のアイディアに手をいれ、構想メモに転記してく
次に「最初のアイディア」メモに加筆してゆきます。
長くなったら、「◎◎は★★」「◎◎が◆◆する」みたいなシンプルな文に分割。(分割短文も目安として20文字前後を心がけてく)
この、分割された短文を、プロットのパーツ用アイディアとして、構想メモの方に転記してゆきます。
「最初のアイディア」の加筆方法は大別で2系統。
・プロット構成を想定して、思いついたことは自由に加筆。
・別紙で並行してやってるオーパーツのディテール・アップや、舞台情報調べの一部を最初のアイディアモに順次組み込み加筆。
加筆も、どれかの系統に偏らないよう心掛けて。
加筆分割された文章は、同じメモ用紙で、順次、前の文章の下に。
実際の作業は、前の文章を下に写しながら改訂してく型になるわけです。
改訂したアイディア・メモを順次下に書いたら、前のメモは大きなペケ印を重ねるか、取り消し線で消してゆきます。(付録1にある取り消し線は、付録3との参照用で本文左記とは別の含みです)
こうして、アイディア・メモの旧バージョンを、できるだけ参照可能な状態にしておきます。
最低限、一つ前のバージョンまでは消しゴムで消さないようにしましょう。
「基本プロット構想メモ」への転記は、加筆分割がはじまった後、プロット・パーツに使えそうな気がする分割文から。
絶対、アイディア・メモの加筆分割をはじめた後に、転記をはじめます。
例えば、「アスワンハイダム崩壊の危機」や「崩れる地下神殿から大脱出」のアイディアは、そのままでも、クライマックスに使えそうです。
でも、最初から構想メモのパーツとして扱ってプロットに取り組むと、発想に詰まったりします。シナリオ化するときののバランスも見誤り易いし。
ですから、「最初のアイディアを膨らませながら分割」「分割した短文を材料にプロットを構想してく」と、2段構えの作業を並行してくわけです。
構想メモの大項目(後述)の数だけ分割してから、なんて意識するのも逆効果。
最初のアイディア20文字が、30~40文字程度になった頃、一番最初に転記したいパーツから分割してく、くらいで構いません。(付録1、付録2参照)
こんなふうに、「並行してるパーツ作業」「最初のアイディアのメモ」「基本プロット構想メモ」の間で、加筆、書き換え、転記をしてゆきます。
■■構想メモの初期作業
■6項目の基本型
構想メモ用紙のスペースは、あらかじめ6つの大項目に分けます。
大項目には、シナリオの構成を大まかに想定した項目名を仮決めしておきます。
後述しますが、作業が進むと大項目の間に補助項目をたてます(付録2、付録3参照)。各大項目前後に等分になるようなマージンを、めいっぱい空ける。
あくまで基本型ですけど、使い易い項目だてを挙げます。
[1]承前
[2]導入
[3](未定項)
[4]クライマックス
[5]決着
[6]後日譚
作業が進むと、項目見出しの位置変更や、一旦配置したメモの移動もします。
必要があれば、項目見出し自体を変更することもあり。
各項目の番号は、総項目数(大項目+補助項目)が増えても、項目見出しの変更や移動があっても、プロットの流れを把握し易くするためです。項目番号、必ず振っておきましょう。
基本型では、[3]の大項目の項目見出、最初はあえて決めてません。
普通は、作業が進むと、特に[2]~[4]のあたりに補助項目が多めにたつはず。余裕の意味もあって、[3]の項目見出しは決めてません。
■6項目にアイディアを配置
「最初のアイディアメモ」の方でパーツに分割された短文を、構想メモの項目見出しに応じて配置してゆきます。
[2]~[5]に「ブルーローズ」で言う「セッションのメイン・パート」で扱う予定のアイディアを配置していきます。
[1]と[6]は「メイン・パートでは扱わないだろうアイディア」用として、作業をはじめます。
■構想メモ初期の注意点
[2]~[5]はたまたま4項目ですけど、「起承転結」とみることだけは止めましょう。
「項目見出しは作業が進むと変えることもある」って書きましたけど、「起承転結」だけは避けましょう。
「起承転結」で考えると、どうしても展開がスローペースになりがち。発想も制約されすぎます。
アイディア・メモから構想メモに転記したアイディア・パーツは、必要に応じて細部を変更。
最初のイメージに捕らわれず、プロットの流れや繋がりを重視してアレンジしてゆきます。
別紙に転記したり、パーツ配置を置き換えたりしてくのは、最初のアイディアのエッセンスだけは大事にしながら、柔軟にアレンジしてくためです。
■■構想メモを充実させる
■補助項目をたてる
今度は補助項目をたてます。構想メモを充実させながら、各アイディアを調整してくんです。
大項目を全部埋めてから補助項目に進む、とかの段取りは不要。
思いついたアイディアから、補助項目として配置しましょう。
プロットの流れを念頭において、先行配置された大項目の前後に何が必要か考えます。
実際のセッションを想像しながら「どの辺でどんな状況を演出したら盛り上がるだろう?」と、「どの辺までにどんな情報を提示してかないと困るだろう?」の二面から考えてくといいです。
補助項目も含め、いずれの項目も引き続き20文字前後を目安に。
どうしても長くなるなら、補助項目複数に各20文字程度で分割配置できるまで整理します。
補助項目には[0.5]とか[2.75]とか少数を使った項番を使用。プロットの流れを常に意識してくため、すでに配置されてる項目の間に割り込ませる数値をふってゆきます。
これだと後からメモ作業にリセットかけるとき、作業経過をトレースし易いのもメリット。
■補助項目が増えてきたら
補助項目が増えると、大項目間のつながりや流れが、段々はっきりイメージされてくるはず。
流れが不自然なとこや、つながりに無理があるとこも見えてきます。
必要に応じて、一端書かれたアイディア・メモも書き変えましょう。
補助項目を含めた総項目数にもあまり拘りません。あくまで「構想」のメモで、シナリオ作成の下ごしらえですから。
混乱しないでプロットの流れを把握できてる限り、必要に応じて補助項目をどんどんたててって構いません。
シナリオ構成が見えた気がするまで補助項目を増やしましょう。
一応アタシの経験則を書いておきます。総項目数20以上30弱、23~27くらいでシナリオ制作に移れる感じになることが多いです。
大体は、大項目が半分くらい埋まり、補助項目の数が増えてくる頃には、「最初のアイディア・メモ」の改訂作業からは自然な感じで離れてるでしょう。プロット構想メモと並行作業(オーパーツ、舞台、NPC)の間での作業に移行してゆくと思います。
でも、最初のアイディア・メモはまだ捨てないで。もしかしたら、作業のリセットが必要になるかもしれませんから、もう少しだけとっておきます。
■必須補助項目とありがちな補助項目
「ブルーローズ」では、基本プロット構想でも、初期の補助項目として「初期ミッション(オープン・ミッション)」を必須でたてます。項番は[0.5]~[1.5]のあたりが適当。
早期にとりあえずのメモを書いとくことが、少なくないでしょう。
「ミッション評価ポイント」って項をたてることもあります。
この項目は重要ですけど、シナリオ作成段階に廻すこともあります。
重要だけど、プロット構想段階では必須とは限らないわけです。少なくとも、作業がかなり進んだ段階でないと手をつけない方が自然です。
アタシの場合、プロット構想作業でこの項目たてるなら、[4.5]~[5.5]あたりの位置付けになることが多いです。
他には[0.5]背景とか、[2.5]陰謀組織の思惑、みたいのがありがちな補助項目。(この辺の補助項目は、項番や項目見出、シナリオごとに変わり易いです)
■基本構想メモ作業の補足と総括
(公)(準公)(限)(準秘)(秘)とかの覚えを、各メモの肩に付記してくのがコツです。
実際はマルでくくったマークを付記してます。無条件にGMから伝える公開情報か、プレイヤーからの働きかけがあったら簡単に伝える準公開情報か、もっと積極的に調べてもらわないと困る限定情報か、といった等級付けの覚えです。
ちなみに(準秘)=準秘匿情報は、一応、限定情報扱いだけど、プレイヤーがよほど鋭くいくつもの手がかりを繋ぎあわせないとわからない情報、とします。
準秘匿情報は、解明しなくてもノーマルな達成度でミッションをクリアできるように仕組むのがアタシ流です。
ここでいう、秘匿情報=(秘)の方は、「シナリオの秘匿情報」のカテゴリです。もちろん「システムの秘匿情報」も包含されます。
結局、「プロット構想メモ」は、セッションで実現される物語展開基本型の構想です。展開を想定しながら、オーパーツに関る様々な要素、舞台背景、ミッションなどの関連を考え、最初のアイディアを調整--膨らませつつ改訂してくんです。
「様々な要素の関連づけ」は、シナリオ製作段階でさらにシェイプ・アップされるべきですけど。
その前から、情報の等級とか、提示の仕方やタイミングについて、あらかじめあたりをつけ、選別しながら仕込む。このために「プロット構想メモ」を書くわけです。
例えば、「(大項目の)[1]と[6]は『メイン・パートでは扱わないだろうアイディア』用とみなして」と書いてますけど。本当は、[0.25]~[1.5]のあたりに配置された準秘匿情報も、鋭いプレイがあったら、メイン・パートに投入するかもしれないですよね。
正確には「基本プロットでは、メイン・パートに使わないだろうって想定のアイディア」が[1]、[6]のあたりにいきます。
[2]~[4]も、「想定してる物語展開に必要性の高い事項(アイティア)から記されたメモ」を目指して作業してく、ってのが正確なとこです。
構成メモ各項目を「文字数20文字前後」に絞るのは、情報を制御し易くするように、必要最低限なエッセンスだけでプロットを構想してくためです。
■■プロット構想メモ手法の弱点とケアー
■主な弱点は2つ
紹介した方法にはいくつか弱点があります。 1つは「完成したシナリオが一本道展開になり易い」。
もう1つは「作り込んだシナリオに拘りすぎて、想定外のプレイへの対処がむずかしくなる」こともある、です。
他にもあるかもしれないけど、すごく気になる主要弱点はこの二つ。
■弱点のケアー
まず、基本プロットの構想は一本道に見えます。 全然構いません。あくまで「基本」プロットですから。
最終的に仕上がったシナリオも、一見、一本道展開に見えるかもしれない。
極論に聞こえるかもしれませんけど、仮に場面展開が一本道になっちゃった場合でも、要所でのプレイヤーの選択が結果に影響を及ぼすシナリオに持ってけば、構いません。
「上辺が一本道展開に見えるシナリオ・テキスト」は、必ずしも「いわゆる吟遊詩人マスタリング」に結果するわけではありませんから。
幸い「ブルーローズ」は、PCがNPCから与えられるミッション(オープン・ミッション)をベースに、達成度を評価するのが基本です。
ですから、「プレイヤーの選択が達成度にも直接・間接に影響を及ぼすよう『ミッション評価ポイント』を整理しながらシナリオを仕上げてく」ようにしてけばいいんです。
ヒドゥン・ミッション(ルールブック、P.27)が発生する場合も、初期に示されるオープン・ミッションと、PCの立場(国際学術団体の調査員)と、状況との関わりあいから、選択の妥当性を評価できます。
(ヒドゥン・ミッション内容を、どんなものとして合意するか自体にプレイヤーたちの選択が関与してくはずです)
コツとしては、シナリオを仕上げる段階では、達成度評価ポイントを箇条書きにして、実際のセッションでGMがチェック・シートとして使えるくらいに整理してくと便利。
ルールブック、P.29にある「経験点の配布」の項、特に「(01)オープン・ミッションの評価」の項を下敷きに考えてゆきましょう。
プロット構想段階では、次作業で上記のような検討が必要なことも念頭に、情報等級などを検討してゆきます。
次に「作り込んだシナリオに拘りすぎて、想定外のプレイへの対処がむずかしくなることもある」。
この件への対処は、シナリオを整理しながら、どんなプレイがあり得るか、できる限り脳内シミュレートを重ねてくのが基本です。
シナリオが一端書き終わった後も、自分で通読して各場面で「GMとしてはこれをやられると一番困るプレイ」を想定しましょう。併せて対処法、回避のための誘導法なども考えてゆきます。
シナリオ制作の実作業に移る段階までに、ワープロ使用を導入してけば、対処法、誘導法などの追加挿入も面倒ではありません。
「ブルーローズ」に慣れれば、シナリオ書きながら充分な想定シミュレーションができるようになると思います。慣れるまでは念入りに想定シミュレーションをしましょう。
■総まとめっぽい付け足し
「ブルーローズ」が扱うのは、「超古代文明の謎を秘めているはずのオーパーツを巡る秘密争奪戦を、現代社会を背景にワールド・ワイドに繰り広げてく学術財団調査員の冒険」です。
キーワードを拾うだけでも「超古代」「オーパーツ」「秘密争奪戦(《シャドウ・ウォー》)」「現代社会(シームレス・ワールド)」「ワールド・ワイド」と、これだけの要素があります。
しかも、「学術財団調査員の冒険」を扱うわけですから、「錯綜した情報の中から手がかりを選り分けていってミッションを達成する」のは「ブルーローズ」の冒険の王道とも思えます。
もちろん1本のシナリオ、1度のセッションで、全部の要素を等分に扱う必要はありません。「ブルーローズ」はキャンペーン前提のシステムですから。
キャンペーンのエピソードごとに各要素のブレンド変えてって、キャンペーンが終わる頃に、「ブルーローズ」冒険のいろんなバリエーションを一通り楽しむ、ってのができたら一つの理想だろうな、って思います。
ただ、「情報過多」を警戒しすぎて「ブルーローズ」らしさが薄くなりすぎるのもつまらない気もします。
「ブルーローズ」で情報過多を避けるには、シナリオ作成時から情報を制限してく路線もあるわけですけど。
今回ご紹介したシナリオ仕込みの方法は、「情報の錯綜感は『ブルーローズ』の持ち味だ」と割り切って、シナリオを作成しながら予め情報の等級(重要度)や性格を見極めてく、そんな下ごしらえの方法でした。
セッション現場では、GMはシナリオで整理した情報を駆使して適度な錯綜感を演出したり、必要に応じて予定場面をカットしてもミッション達成に必要な情報から示したり、などのコントロールが楽にできます。
うまくコントロールしてけば、情報錯綜感を楽しむセッションを遊べます。
使いきれなかったアイディアはキャンペーンの先の回で活かせばいいんだし、とか、面子を代えてGMしてやれ、くらいのつもりで、一度シナリオ作り込んでみるのもよいと思います。いろいろ工夫したり発見したりが楽しいと思いますので。
なお、今回触れなかった並行作業、「オーパーツの設定」「背景舞台情報の整理」については、以前、手法を提案したことがあります。
よければ、この文章を読んだ後に併読してもらえると嬉しいです。
「現代冒険TRPG『ブルーローズ』シナリオ・メイクに際して、舞台選定・設定整理のコツ」の方はちょっと整理しきれてない点もありますけど、「現代冒険TRPG『ブルーローズ』シナリオ用オーパーツのディテール・アップ」の方は、かなり有効な整理になってると思います。
追記1:
大項目6つについての補足です。
基本プロット構想メモ作業に慣れてきたら、実は、6項目の大項目見出しを最初から基本型以外のパターンにしても構いません。基本型は、あくまで「ブルーローズ」で使い易いパターンですから。
基本型での[2]~[5]の項目見出しは、本当は「次のセッションで一番やりたいこと」がどんな方向を目指してくかに応じて、変わっていった方が自然なんです。
本文では、作業自体に慣れてくために、使い易い「基本型」を挙げました。
ただし、[2]~[5]がメイン・パートで優先的に扱う内容、[1]と[6]はメイン・パートで扱わないだろう内容、って大枠は変えない方がいいです。
大項目数6(2+4)は、変えない方がいいと思います。
項目数を2+3とか2+5とか変えても、うまくやれるかもしれませんけど。本文では言及してない理由もあって、アタシは2+4と決めてます。
大項目数を変えた場合のプロット構想のノウハウについては、アタシはあまり経験がありません。
追記2:
今回盛り込めなかった、アタシ式の「ミッション達成度評価」について。あくまで参考用に書いておきます。
最低限グッド、ノーマル、バッドの3段階は考えてます。
PCが、初期ミッションだけは可もなく不可もなくこなした場合をノーマルとしてまして。バッドは、完全な失敗ではない、って達成度を考えてます。
シナリオにもよりますけど、ノーマルは、エクストラを除いてだいたい8点~10点で考えてます。
ノーマルで10点というのは、極シンプルなオープン・ミッション、オンリーのシナリオ限定ですね。
逆に、ヒドゥン・ミッションの予定があって、プレイヤーが厳しい選択をPCにさせなくてはいけないシナリオでは、ノーマル達成を7点とすることもあります。
凝ったシナリオでは、ベスト、グッド、ノーマル、バッド、ワーストと5段階まで考えることもありますけど。この手のシナリオはセッション時間長いです。アタシは好きなんですけど(苦笑)。
この達成度評価の考え方は、人によって好き嫌いもあるでしょうから、あくまでご参考用にどうぞ。この考え方を切り離しても、本文でご紹介したプロット構想法はそれなりに有効と思います。
ただ、注意を促しておきたい点もあります。
ここで触れた、グッド~バッドといった評価段階も、シナリオを仕上げるまでの間「あたり」として構想してくものです。これは忘れないでください。
本文にも書いたように、実際のセッションでは、ルールブックP.29の「(01)オープン・ミッションの評価」を下敷きに、ある項目をクリアしてたら経験点何点、といったチェックリストを整理できるくらいに持ってった方がよいです。
チェック・シートの必要性は、オープン・ミッションとヒドゥン・ミッション複合態の複雑さによります。
ミッションが複雑なシナリオでは、評価点チェック・シートは作った方がいいでしょう。
少なくとも「ノーマル達成だから(あるいはバッド達成)だから8点」と言った“評価”を感覚的にする程度の整理だと、マスタリングが恣意的になりかねないでしょう。プレイヤーさんの不満も誘発し易いと思われます。
付録