2004年06月号

地図帳の活用――「ブルーローズ」セッションのワールド・ワイド冒険に世界地図を活用☆

特集: 単発記事
筆者: 鍼原神無

 連載でやらせてもらってる「『ブルーローズ』で適度な情報錯綜を楽しむシナリオ準備」しばらく、お休みいただいてまして済みません。
 残りは、本当に最後のまとめくらいのはずなんですけど。急に仕事が立て込んじゃいまして。今回も連載の方は、お休みさせていただいてます。
 その代わり、と言ってはなんですけど。急遽、WebZineの特集「地図」絡みの単発を書いてみました。

「ブルーローズ」セッションでは基本サプリっぽく地図帳を使おう☆

「ワールド・ワイド」は「ブルーローズ」のウリなのだ

 「ブルーローズ」のウリの一つは、現代世界と(上辺は)同じなシームレス・ワールドでの、ワールド・ワイドな冒険です。

 前回のセッションはイギリスからアフガンへ転戦する冒険だった。
 今回はインドからエジプトへ。
 さて次回は?? って感じ。
 シナリオによっては、1セッションで、ヨーロッパ→東南アジア→中南米→北極、なんて派手なロードも可能☆

 GMさんは、世界地図帳を、基本サプリメントのように使うといいですよ。
 シナリオ作りのときも役にたちますし。セッション現場でも楽しく使えます。
 今回は、「セッション現場での使い方」の一例をご紹介します。

地図帳活用の準備

 アタシの場合、セッション現場で使うときに、まず、次のような物を使ってます。
 用意するもの――、

  • B4サイズのクリア・フォルダー
  • 水性クレヨン
  • ウェット・ティッシュ

 「B4サイズのクリア・フォルダー」は、買う前は、単価少し割高感を感じるかもしれません。けど、消耗品ではないので、活用してけば値ごろ感を感じると思います。
 近くに無印良品を扱ってるショップがあれば、覗いてみるといいと思います。比較的単価の安い無印良品フォルダー扱ってることがあります。

 「水性クレヨン」は、アタシは、ペンテルの子供用「らくがきクレヨン12しょく」を愛用してます。このアイテムは使い勝手があります(後で説明しますけど、HEXマップでも活用できます)。

 「ウェット・ティッシュ」は、大判のボックス・タイプの詰め換え用を使ってます。
 お出かけセッションでGMするときも、携行に便利です。
 ポケットサイズのウェットテイッシュを、面積大きくして、分厚くしたような感じの商品で。

 アタシが愛用してるのは、ユニ・チャームのシルコット・ウェットティッシュ、詰め換え用60枚入りで、ノン・アルコール。
 60枚入りだと、残量気にせずにバンバン使えます。
 ノン・アルコールは趣味の問題かもしれないけど。アルコール入りだとキャラシーなんかにウェット面が着いた時しみとか出易い気がします。

セッションでの地図帳利用法

 実際のセッション現場では、次のような活用をしてます――
 まず、用意したシナリオをみて、使えそうな地図を地図帳などからピック・アップ。
 コンビニに行って、カラー拡大コピーでB4版でコピー。
 コピーをB4クリア・フォルダーに挟んで用意しておきます。
 ここまでが事前準備ですね。

 シナリオに応じて、適当なとこでクリア・フォルダーに挟んだままの地図を机上に出します。
 プレイヤさんに地図を見せて説明しながら、クリア・フォルダーの上から水性クレヨンでグリグリ書込みを。
 これが楽しいんです☆

 水性クレヨンって、要するに「お子様が落書きしてて、うっかり絨毯や家具に、お絵描きしちゃっても、サット水拭きで消せます、拭えます」ってのがウリの画材です。
 特にクリア・フォルダはアクリル(?)みたいな素材ですから、結構あれこれ描いても、ウェット・ティッシュでサッと拭くと、綺麗になります。

 ですから、1葉のクリア・フォルダに複数枚のカラーコピー地図を挟んでおいてもオッケー。使い終わったたびにフォルダーを綺麗にしてけば、次につかうとき、紙芝居みたいな感じで一番上の地図を代えて使っていけます。

 1シナリオで3~5枚程度の地図を用意(コンビニ・カラーコピーの相場で150~250円)してくといいように思います。
 数種類のシナリオをマスタリングしてくと、知らない内に地図コピーのストックが溜まっていきます。先々シナリオ検討時の参考用資料にも使えますよ。

 念のために書いておきますけど。
 地図帳のカラーコピー、同人誌とか自作サイトとかに引用手続なしに流用したら、著作権違反ですけど。
 でも、自分で購入した地図帳のコピーを、自分がGMするのに使って、配布もせず、資料としてみせるだけなら、なんら著作権違反にはならないはずです。
 コピーを採ること自体が著作権法違反になるとは限らないわけですよね(念のため)。

利用法事例:ミッション予告

 上に書いた地図活用法が使えるのは、まず「ミッション予告時の説明」、です。
 例えば、イラク北東部に向かうって指令だってことで、架空事例をリプレイ風に書いてみます――

GM
「今日のオープン・ミッション(セッション開始時に指令されるミッション)は、目標地がここにあるニネベの遺跡(と、赤でバッテン印)で、至近の都市はモスル(と赤で丸囲み)。
 なので、まず、財団特別機でバグダッドの国際空港に入って入国手続き。モスルの北西にある国内線空港に飛んで、その後陸路で一旦モスルに宿泊。(と、オレンジでルートを矢印で描く)って計画が、ナサニエルから出る予定です」
プレイヤA
「この辺は、今どこ軍が治安担当?」
GM
「あー、えっと、フィクションなんですけど、このシナリオでは、こんなエリアをイギリス軍が治安担当って設定にしてあります(と、ピンク色の水性クレヨンでエリア括る)」
プレイヤB
「この辺って、クルド人地域ってとこだよね?」
GM
「そうですね、だいたいこの辺からこんな感じで(と、青色で大雑把に括って)イラク・クルディスタン。ちなみに、大クルディスタンは数カ国に渡っててこんな感じ(と、水色でググっと括ってみせる)」
プレイヤA
「広ッ(笑)」
プレイヤB
「大クルディスタンって?」
GM
「今回のシナリオでどこまで関係するかは不明だけど……。一番熱心なクルド独立運動団体が主張する、一番広いクルド人居住圏が『大クルディスタン』。
 クルド人って言ってもいろんな部族があるから、クルド人の全員が、一致して大クルディスタンの独立を主張してるわけではないのね。
 ちなみにイランにもクルディスタン州ってのがありまして(と、空色のクレヨンでグリグリ括る)、あ、地図に『コルディスタン』って書いてあるけど、『クルディスタン』のことね」
プレイヤA
「GMが、スラスラ説明したとこみると、今日のシナリオに関係あるとみたね(笑)」
GM
「(苦笑)それは冒険で確かめてちょうだいよ」
プレイヤC
「イラクからイランに国境越えるなんて展開はしんどそうだなぁ(苦笑)」
GM
「そーゆー羽目になっても、PCのお仕事だから、がんばって(笑)」
プレイヤA
「今日は、アルカード、キープしよっと」
GM
「ま、ま、ほかにもナサニエルに相談するとか、ユスティナに入国書類緊急手配してもらうとか、いろいろあるし」
プレイヤC
「オメガに電脳で入国書類いじらせるとか(笑)」
プレイヤD
「それって違法では?」
プレイヤA
「このGMはね、『オーパーツの危険か、陰謀組織の陰謀』ってNPC説得できれば、多少は眼をつぶるよ」
GM
「説明ありがとさん☆ それまでの冒険で、充分、手がかり掴んであって、NPCに『かくかくしかじか』って言ってくれたら、多少のことはしてくれます。かえってナサニエルの方がその辺、融通利きづらいかも――状況によりますけどね」
プレイヤA
「とゆーわけで、今日は、イラクからザクロス山脈越えでイラン入りって可能性を踏まえて装備購入を(笑)」
GM
「構いませんけど(苦笑)。そんな当て込みで装備買って、はずれても知りませんよ(笑)」
プレイヤA
「でも標高高いからなー、この辺のザクロス山脈。(地図みて)2000~3000m級?」
GM
「えーっと。PCの成長と、装備購入の作業時は、プレイヤ間の話あい、無条件オッケーです。でも、最終決定権は担当プレイヤにあるってことで。みなさん自分の考えで購入などしてください」
プレイヤB
「ミステリアスな美女、調達技能上げてきまーす。事前の装備購入、あまり神経質になんなくてもいいと思いまーす」
プレイヤA
「そだな、ゾディアックでカロンひけば、山脈どれだけ高くても平気だし」
GM
「なんか、今日はみんないろいろ気にしてるから、ゾディアック引きを成長作業の前にしよっか?」――プレイヤ全員が、ぱちぱちと拍手
GM
「じゃ、予告についての質問はもういいですね。ゾディアック・カード配りまーす」

 ――多少、潤色もしてますけど、こんな感じに持ってくことはできます。
 言うまでもないですけど、口で説明するだけでなくて、地図を見せながら説明してくと、地形や位置関係など複合した情報を並列的に示せるわけですね。
 で、地図による並列情報をバックグラウンドにしながら、セッションに重要な事前情報のみを口頭で説明してく。
 そのときに、クレヨンでマーキング、って動作を加えると「並列情報の内から、重要部分を浮き立たせる」みたいな効果が生じるわけです。

 コツとしては、セッション前にシナリオチェックするときに、B4版に大きく伸ばした地図みながら、関連スポットや周辺地形を意識しつつ必要情報の確認と脳内整理をしてくといいと思います。実際のセッション時にGMとして説明してく段取りを事前予行するとなおいいです。

利用法事例:シティ・アドヴェンチャー

 ミッション予告時の次に地図の活用しがいがあるのが、シティ・アドヴェンチャーです。
 2000円弱くらいの価格帯の一般的な世界地図帳でも、主要国の首都の市街図が載ってる商品、割りとありますから。

 冒険の途中で、PCが一時寄るだけでも、例えば、カイロの地図とかをクリア・フォルダーに挟みまして。

GM
「PCが宿泊するホテルはこの辺ね、で、空港は地図の外だけど、みんなは特に何もしなければこっちの方から市街地に入って きます」とか「あ、先にカイロ大学寄ります(?)。カイロ大学はここ。じゃ、やっぱホテルに、チェック・イン先かな(?)。PC同士で決めてください ねー」とか。

 《ブルーローズ》のPCが、そんな市街図載ってるような主要都市ばっか行くわけない、ですか。ごもっともですね。
 そういうときは、地図でなくてベーシックP.O.D.や段階処理を活用してくといいと思いますよ。(今回の話題とはズレるから詳しくはふれませんけど)

利用法事例:HEXマップ

 やはり、今回の話題とはズレるかもしれませんけど。地図のカラー・コピー同様、クリア・フォルダーと水性クレヨン使ってHEXマップで遊ぶもの楽しいので。こっちについては少し説明しときます。

 実は、シナリオによっては、応用利きづらいかもしれませんけど。
 アタシのシナリオだと、クライマックスに、未知の遺跡を予定しとくことがよくありまして。
 こういう場合、やっぱりHEXシートをB4に拡大して、クリア・フォルダーに挟み、水性クレヨンも使って遊んでます。

 特にクライマックス戦闘では、プレイヤさんにも水性クレヨン使ってもらって、作戦打ち合わせなどしてもらうと、楽しいです。別に、水性クレヨンを プレイヤさんに使ってもらうの、HEX戦闘に限る必要はないですけど。地形図や都市マップでも、プレイヤさんの質問や、ナイスなマーキングは、プレイヤさ んに適当な色のクレヨン使ってもらうと楽しいです。
 でも、HEX戦闘だと、使い勝手が多いのは確か。
 例えば、NPC戦闘と関係なく大型氷山とかの「脅威」がマップを移動してる、とかだと――

GM
「ここにある氷山が、こっち方向に動いてて(と矢印とかを書く)、周囲2HEXには天井からバリバリっとぶっとい氷柱が降ってくるよん。エリアに入ってる人は手番最初に『運試し』ね、凶星、大凶星引いたら、回避しないと氷柱直撃」

――なんて使い方があります。

 一例あげただけですけど。戦闘時は、口で説明するだけより、マップとマーカー使って位置関係示した方がマスタリングもプレイも楽ですし。マップに矢印とか、エリアとかを随時描き込んで、情報付加してくと、さらに遊び易いです。

 もう一つ言うと、いい意味でのゴッコ遊びの楽しさも増します。
 「ごっこ遊び」って、TRPGのよくない楽しみかたのレッテルみたいに使われることもありますけど。アタシは「ごっこ遊び的」楽しさも、適所で使えばセッションの楽しさ倍増だと思ってます。

 例えば、やっぱりHEXマップでの事例ですけど――

GM
「そのとき、ここ(マップ中央)のストーン・ヘンジ全体がボーッとオーラの輝きにつつまれたのだったぁ。あまりに強いオー ラなので、判定しなくてもふつうの視覚でみれます、カメラには映んないけど。こう、ぼぼぼぼっと怪しげなオーラがぁ」とか言いながら、ストーン・ヘンジの 周りをグリグリ黄色のクレヨンで囲ってくのって、楽しいですよ(笑)。

 GMも楽しいですし、プレイヤさんにも楽しんでもらってる感触強く感じます。
 付加情報加える確かな価値に、+αとしてクレヨン使った「ごっこ遊び的楽しさ」ってのも、かなりの魅力と思います。


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