オンラインセッションと地図
TRPGで広範囲の移動を扱う場合は、地図というアイテムがあれば距離などの情報をプレイヤーに簡単に伝えることができ、非常に便利である。また、さほど広範囲でなくとも位置関係がわかるという点だけで十分使用する価値がある。
対面でのプレイであれば、地図をその場で描いたり必要な情報を追記することも簡単である。しかし、チャット(やそれに類する環境)をプレイの場とするオンラインセッションでは、「紙に書いてプレイヤーに見せる」といったことができない。
今回はそのようなオンラインセッションで地図を使用したい場合にどうすればよいかを考えてみることにする。
TRPGのセッションにおける地図の役割とは
プレイヤーに地図を見せる必要がある、というのはどういった状況で発生するのだろうか。
地図とは、ある範囲の土地の情報を平面図に記したものである。つまり、プレイヤーに地図を見せるということは、「ある範囲の土地の情報」をプレイヤーに 与える必要がある、ということに他ならない。もし、プレイヤーにその情報を与える必要がないのであれば地図が存在しなくてもゲーム上なんら問題はないだろ う。
しかし、どうしても地図による情報が必要なシナリオをオンラインセッションで行いたい場合にはどうすればよいだろうか? 以下では、私の体験した、オンラインセッションにおいて地図を使用する場合の手段と、その利点・欠点などをあげてみることにする。
オンラインセッションにおける地図情報の提供法
WEBブラウザを使用する方法
これは誰でもできる、簡単な方法である。ごく普通のWEBサイトや画像を貼り付けることのできる掲示板を所持していれば、普段の更新作業と同様に用意することができるだろう。
また、GMに相応の知識と技術があればCGIやPHP、JAVAなどによる地図表示も行うことができる。
長所
プレイヤー側に負担がかからない。
スキャナがあればその場で書いて公開可能。
CGIなどを使用する場合には動的にデータの更新も可能。
短所
WEB上のスペースとその更新方法程度の知識が必要。
CGIなどを使用する場合には相応の知識が必要。
更新に要する時間が長く、プレイ中に変更をする場合にロスが大きい。
巨大なカラー画像を使用すると閲覧に時間がかかる(最近は回線速度が上がって改善されてきている)。
アスキーアート
文字のみで地図などを表してしまう方法である。こう書けばWEB上に画像をアップロードするよりも容易に聞こえるかもしれないが、文字のみで地図を表現 するにはある程度の慣れが必要となってくる。私が不器用なだけかもしれないが、手書きの地図をスキャンしてアップロードするほうが「簡単」だと感じることも多かった。
この方法であればGMにもプレイヤーにも特別な知識やソフトウェアが不要でチャット空間そのものに地図を出すことができる。
長所
特別なものが必要ない(オンラインセッションに使用するチャット環境のみでよい)。
短所
情報量が極めて少ない。
用意に時間がかかる。
プレイヤーとGMの使用しているソフトウェア・フォントが異なる場合に正確に伝わらない。
画像共有の専用ソフトを利用
いわゆる画像つきチャットソフトやIMなどである。ビデオ会議システムを利用してカメラの画像を送ることもできる。
手書きでも画像でもリアルタイムで更新でき、プレイヤー側からも手を加えることができるなど、利点は多い。またTRPG用に特化されたソフトを用いればHEXなども簡単に表現することができる。地図をプレイヤーに見せる=画像を共有する、という目的をストレートに実現している。
長所
情報量が多い。
リアルタイムに更新ができる。
短所
全参加者が同じソフトを使用できる環境でなければならない(含、高速回線)。
参加者のある程度のコンピュータに関する知識と技能。
GMがプレイヤーに使用法を教える必要がある。つまりゲーム開始前に相応の時間が必要。
シェアウェアを使用する場合には、そこそこの金額を支払う必要がある。
結局のところ……
いずれの方法を用いても、机の上にポンッと地図を置くことに比べれば手間もかかるし効率も悪い。また、情報量や利便性を上げるほど、準備に必要な時間や制約が増えていくというトレードオフの関係にあるように思える。
もっとも、普段からペイントソフトを使用して地図を作成しているGMの場合にはWEBでのアップロードには手間はかからないし、日常的にお絵かきソフトを使用しているメンバーなら、すぐに画像の共有ができるだろう。
結論としては、「GMとプレイヤーの技量やシナリオ中で必要な情報にあわせて最善の手段を選ぶ」ということである。