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2004年10月号

オンラインセッション混ぜるな危険!

特集: 単発記事
筆者: アキト

はじめに

オンラインセッションはまだ生まれて十年ほどしかたっておらず、知識・ノウハウの蓄積がとても浅い状況にあります。なんせ、ちっともノウハウの蓄積がはかれてない、あのTRPGと比べても劣ってるほどですからね。

そのため、さまざまな誤解や迷信がオンラインセッション界隈には蔓延っているのが現状です。

オンラインセッションとTRPGの関係

なかでも危険性がぶっちぎりで高いのは「オンラインセッションとTRPGがほぼ同じものである」という根本的な誤解です。そもそもでTRPGのTはTabletalk(卓を囲んで遊ぶ)でしょ、オンラインじゃテーブル囲んでないじゃん。

ともかく、両者を混同して考えると、非常に多くの問題が発生します。

以下にそれを列挙していきましょう。

市販システムでオンラインセッションを楽しもう?

市販のTRPGシステムをオンラインで遊ぼうとする行為は危険です。いや、危険を通り越して無謀と呼んでも過言ではないかもしれません。とにかく止めれ。

例えば、FEARが製作して富士見書房から出た傑作TRPGに「アリアンロッド」が あります。巷で大人気で、コンベンションでも良く見かけているはずです。

が、これをオンラインで遊ぼうとすれば、そこには数々の悲劇が待ち受けています。というか、オンラインで遊ぼうという発想が土台無理です。

これはほんの一例ですが、オンラインセッションだと、フェイト(ヒーローポイント)の使いドコロなどが別次元になります。なぜなら進行に時間がかかるオンラインセッションでは戦闘や判定の回数や重みがオフラインセッションとはまったく異ってくるためです。

ぶっちゃけ、オフラインの感覚でバランスを組めば、元がどんなに素晴らしいTRPGシステムであっても、あっという間にクソゲーに成り果てます。

つまり、オンラインセッションで市販のシステムをそのまま遊ぼうとすれば、それだけでゲームのバランスが土台から崩れてしまうわけです。

これを回避するためには以下の3点に注意するのが良いでしょう。

(1) すべてのルールを使おうとしない。
(2) 使うルール、使わないルールを事前に明言する。
(3) レギュレーションはWebページなどに配置する。

オフラインで使ったシナリオをそのままオンラインセッションで遊ぼう

オフラインで遊んで成功したのに気をよくして、そのシナリオをオンラインセッションにそのまま持ち込もうとする人がいます。が、これなんかもとんでもない危険行為です。球界を永久追放されても文句は言えません。

オンラインセッションは概して相談に時間がかかります。よく「オンラインセッションは三倍時間がかかる」と言われています。

中でも、オンラインでは互いの顔色を伺うことのできないため、「相談事」が特に時間を食う局面になります。

ただでさえ時間を食う(四倍は覚悟)というだけでなく、オフラインで普段の倍かかる「込み入った相談」は、オンラインだと何故か四倍(当社比)になるという、やっかいな傾向があります。

つまり、大きな相談ごとであればあるほど、事態は膠着し、飽きっぽい人が他のことに気を取られはじめ、ついには寝る奴が続出するわけです。困った事に。

この問題についての対策は、以下の3点です。

(1) 楽しみどころ、考えどころを一つに限定した短いシナリオにする。
(2) シナリオで活躍困難なパラメータのPCが混ざらないよう配慮する。
(3) 状況についてまとめた文章をWebページなどに配置する。

オフラインと同じ気持ちで遊びはじめよう

オンラインセッションを遊ぶにあたっては「TRPGの経験が活かせる」と思うのは禁物です。どんなに「TRPG上級者」であっても、オンラインセッションをろくに遊んでなければ、初心者なのです。

自称「TRPG上級者」の人も、おとなしくオンラインセッションの経験が深い人やGMの言うことを聞きましょう。

また同時に、「オンラインセッション上級者」でもオフラインでTRPGをろくに遊んでなければ、TRPG上級者ではありません。さらに、同じシステムであってもバランスが異なってきますから、システム経験者というのも微妙です。謙虚にGMをはじめとするほかの参加者の見解に耳を傾けましょう。

どちらのケースであっても、勘違いしてデカイ顔すると良くない烙印を押されてしまいます。気をつけましょう。

これの対策は簡潔です。

・別の遊びだと思って初心に帰る。

おわりに

オンラインセッションは、TRPGの代用品でも従属物でもありません。それ自体で独立した、とても愉快で面白いホビーのジャンルなのです。そう考えた方が、勘違いや思い込みから来る齟齬が減って良いでしょう。ちょっと特集と馴染まない結論ですけど。


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