2003年12月号

シナリオ不作成入門 基礎編

特集: ダンジョンズ&ドラゴンズであれこれ
筆者: 死せる詩人

はじめに

 月刊TRPG.NET2003年12月号は「シナリオ作成」特集という事になってしまいました。これを通達された時の僕の慌てようと言ったらそれはもう泡を吹いた薬罐が湯の沸騰を告げたのかと周囲の人が危ぶむ程ではありませんでした。

 僕はすっかりD&D3Eばかりをプレイするようになってから、早3年というものシナリオを、一から自作するという事をしていないのです。何しろ、僕及び僕の周囲のプレイヤと言ったら、因縁も理由も動機も故が無くとも――況んや目的に於いておや!――ダンジョンに潜り、モンスタと戦い、お宝を強奪し、パワーアップさえできれば文句は無い(モンクはいる)という大変困った正統派のD&Dゲーマばかりなのです。

 そんな訳ですから僕はシナリオのプロットなんて用意する必要もなく、ただただダンジョンを作成すれば良いのでした。更に恐しい事のは、世界でもっともリソースの豊富なこのゲームに於いては、そのダンジョンすらも自ら作成する必要は無かったという事実でしょう。

 そんな生温い環境に保護された僕がシナリオ作成のノウハウなぞ持っている訳がありません。しかしながら他方で「シナリオを作らない」ノウハウならば、世の多くのDMよりも豊富に持っているのではないかと思います。では「DMは楽をするべきである」を標語にシナリオ不作成入門を開陳いたしましょう。

金は全てを解決する

if ( Rich == GetState( You, Money ) ) {

 世の中金よ。金さえあれば何でもできんのよ。シナリオを作るのが面倒ならば買えばいいんです。買えば。なんだかんだとホビージャパンに恨みを持つご老人方の怨嗟の籠った誹謗中傷をよそに、我らがホビージャパンは次々とサプリメントを邦訳してくれています。その中にはシナリオも含まれており、またそのシナリオ群は低レベルから高レベルまで一通りカヴァーしてくれています。これらの和訳シナリオだけでなく、英語のオフィシャル・シナリオや毎月発売される D&Dサポート誌Dungeon Magazine、更にはサードパーティから発売されているd20システム対応のシナリオまで目を向ければ、毎日セッションを行なっても一生シナリオ不足で困る事は無いでしょう(毎日セッションばかりして働かないような人はすぐに食費がなくなり餓死するでしょう)。

 現時点で出版されているオフィシャル・シナリオ(及びその和訳)を以下に挙げておきます。ここに掲載されていない、その他のサードパーティ製シナリオ等についてはD&D情報倉庫を参考にして下さい。

*0 : これらのシナリオについては僕のウェブサイトに、全く参考にならないプレイリポートがあります。『Bastion of Broken Souls/迷える魂を喰らう者』も近々掲載する予定です。
*1 : ホビージャパンから2004年に発売予定。
*2 : Forgotten Realms用シナリオ。

}

WotCの他に神は無く、HJはその使徒である

else if ( Poor == GetState( You, Money ) && Better == GetState( You, EngAbility ) ) {

 中には学生、ハローワークと仲良い人、ゲームに理解の無い妻を持ったゲーマ、浪費に理解の無い妻を持ったゲーマ、理解の無い妻を持ったゲーマ、妻を持っ たゲーマ等、そうホイホイとシナリオを購入できる身分ではない人もいるでしょう。そういう人の為に、我らが神ウィザード・オブ・ザ・コースト(WotC) はウェブサイトから無料で自由にダウンロード可能なシナリオを数十も用意してくれています。また数は多くありませんが、ホビージャパンのサイトにもダウン ロードシナリオがあります。これらを利用すれば――印刷する際も裏紙を利用する等して――財布を握った妻の目を恐れる事なくシナリオを入手できます。

}

吾輩は地図である中身はまだ無い

else {

 ここまでにあった全ての条件文を抜け、ここまで来てしまったあなたは、シナリオを購入する金も無く且つ英語シナリオを読む根性も無い人か、或いはそうでない人のどちらかでしょう。そんな人にも神はまだ道を残してくれています。WotCのサイトにはMap a Weekというコーナがあり、そこでは毎週何がしかのフルカラーマップがJPEG形式で公開されています。町地図や下水道、天然の洞窟、神殿などおよそダンジョンのネタとして十分役割を果たしてくれるものばかりです。まずはこの中から、適当なマップをダウンロードし、適当に部屋番号を割り振り、後はダンジョン・マスターズ・ガイドに掲載されているランダムダンジョン作成ルールを使って、各部屋の中にある物を決めれば直にダンジョンシナリオを遊ぶことができるようになります。

 また、ランダムダンジョン・ジェネレータというソフトを利用すれば、より簡単に作成することも可能です。ランダムダンジョン・ジェネレータについては以前の記事でも触れているので、合わせて読むと良いでしょう。

}


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