2003年12月号

TRPGとビジネススキルであれこれ

特集: 単発記事
筆者: 桜井@猫丸屋

 木枯らしに吹かれつつ道を歩く12月。
 街はすっかりクリスマス一色。カップル達が肩よせて温もりを分け合うように歩くのを眺めておりますと何やらボクの心まで温かく──
 なるはずもなく、プチテロリストになりかねない荒んだ目でショッピングモールなどを歩いております。桜井@猫丸屋でございます。(長い挨拶)

 今月のWebzineの特集はシナリオ作成。
 ──と思ってノウハウ記事を書こうかと思いつつ挫折いたしました。

 まぁ、愉快で実用的な記事は他の方が書かれるだろう,ボクは自分のできるコトをしようと気を取り直し。
 今回は題してTRPGとビジネススキルであれこれ
 シナリオ作成からセッションの運営,果てはシステムの作成からサークル内での共同作業まで、ビジネススキルを流用するとこんなに上手くいくという塩梅の記事でございます。

 とは言え。
 こんな美味しいアイディアがボク一人の頭から湧いて出るはずもなく。
 今回の記事の大半は、ボクがよく遊んでいる語り部のIRCチャンネルからログを頂いてまいりました。

 まずは最初に、快く月刊TRPG.NETへの投稿を許可くださいました語り部の皆様に謝辞を送らせていただきます。
 それから、この記事に僅かでも瑕があるとすればその責は一切わたくし桜井@猫丸屋に帰することを明記させて頂きます。

 なお今回のHTML整形にあたり、akitoさんのリプレイのためのCSSを参考にさせて頂きました。akitoさんにも謝辞を送らせていただきます。

最初の一文は「GMに王道なし」

 さてはて長い長い前置きは終わり。これより記事の本文が始まります。
 場所は、語り部の企画の一つ西生駒用のIRCチャンネルである「#西生駒」,時は折りしもオンラインセッションが終わった直後のこと。
 GMを終えたmiburoさんが、他の参加者の皆さんにGMをやってみようと呼びかけたところから──

 

[miburo]
私はまともにやったのは高校三年間、すべてプレイヤー。GMなどやってみると案外何とかなるもんです。
やりたい人、求む。相談にははりにゃが乗ります(ぉ
[hari]
割り切ればそんなに大変じゃないとみぶろさんが教えてくれます。
短時間セッションにする気で見ればロールたんのネタ(*1)も結構つかえる
[miburo]
うん。組み合わせ次第で長くも出来る
[hari]
うんうん。私が振ったのも、5分で出来た。
[miburo]
終わったあと予定していた障害、真相へのヒント、アプローチ法,予想アクション等をまとめてMLに流すと、なんかええことあるんじゃろか。
[hari]
ありそうだね
[miburo]
GMを目指す人へのヒント、あるいはプレイング技術の向上とかに利用するなら、やってもいいのではないかと思った。
[hari]
「あー、そんなもんか」と
[sf]
うんうん。そしてWebzineの記事にももってこい。
[miburo]
ああ。ちょうど12月のテーマでしたね。 < うぇぶじん
3回やって「GMノート」を流し、PLさんたちの感想をもらいつつまとめるとそれっぽくなるかも。

「みるみるうちに英語が耳に入ってくるようになりました」
「ふと思いついて買った宝くじがまさかの大当たり。ホント凄い効果です」

[Catshop]
何を売りつける気ですか(笑)。
[Luna]
GMののうはう
……ってそういう本はあるのかなぁ
[KyrieNote]
最初の一文が「GMに王道なし」な気がします。

【この項のまとめ】

  • GMは案外気楽に始められるぞ
  • Roleちゃんのランダムジェネレータはシナリオのネタをくれるぞ
  • miburoさんは何か売りつける気だぞ(嘘)
  • GMに王道はないらしいぞ

 

【この項の解説】
*1 ロールたんのネタ
 月刊TRPG.NET 10月号の記事「偉大なるロールお嬢様を称える小文──あるいはIRCにおけるRoleボットの諸機能について」および「Roleランダムジェネレータ表」を参照。
 要するに語り部系のチャンネルに常駐しているRoleさんは、シナリオのネタになるようなイベントを適当に生成してくれる機能がある──と言うこと。

ビジネススキル転用でTRPGもスキルアップ

 前項の話題の「GMののうはう……ってそういう本はあるのかなぁ」の一言から話題は思わぬ方向に流れていきます。

 

[Luna]
意外にビジネススキルが生きるかもしれないゲームマスターのノウハウドゥハウ

  実は「~のノウハウドゥハウ」のシリーズは実在してたり。(もちろん「ゲームマスターのノウハウドゥハウ」は存在しないですが)
  『~のノウハウドゥハウ』シリーズ(bk1からの購入リンク)

[miburo]
ビジネススキルはプレイヤースキルと互換性がありますよ
  • 目標を立て
  • 達成するための効率的な手段を
  • 限られたりソースから探してくみ上げ
  • 仲間達と調整しつつ
  • 情報を入手し
  • 達成。
[Luna]
上司や中間管理職のスキルならゲームマスターと互換性あるかも
[Catshop]
現場レベルでも──
  • 課題達成・問題解決のための計画作成
  • 進捗管理
  • 時間管理
  • 突発イベントへの対応などなど──
幾らでもGMと共通するスキルはありますな。
報告書を書くスキルなどもプレイリポートの形で流用は可能。
(↑キャンペーンの場合には重要,別にGMがやらんでもいーことですが)
[miburo]
時間管理は意外と出来ない人が多い。<社会で。
[Catshop]
# ボクも全くダメで苦労しました。今も、苦手ではありますが。> 時間管理
[sf]
『できる男が選ぶ生き方ビジネスダディ』(bk1からの購入リンク)
も参考に(くくく)
動機づけ、チームづくり、共感、交渉、計画などのビジネススキルを、子育てに生かす。既に確立されているビジネス・コンセプトを父親が直面する問題に応用。
仕事と家庭の対立や、時間の管理などの難問にも取り組む。

  Amazonからの購入先リンクはこちら

 

【この項のまとめ】

  • 目標立案から達成までのビジネスのプロセスはプレイヤーをやる時にも転用できるぞ
  • 計画作成,進捗管理,時間管理は予想外の出来事の対応など現場レベルの日常の仕事の仕方はマスターする時にも役に立つぞ
  • ビジネススキルは子育てにも役立つらしいぞ

ほう・れん・そう(*2) でセッションを円滑に

 ここから先、社会人の人はもちろん、遠からぬ未来に社会人になっていく学生の皆さんにも必見です。
 ビジネスの基本スキルに関わる話題と書籍の紹介が続きます。(もちろんTRPGにも役立つ話ですよ)

[Catshop]
ちなみにプレイヤー,GMともに重要なのが“ほう・れん・そう”のスキル。
[Luna]
ほう こく れん らく そう だん?
[Catshop]
いぇーす。これくとーる。
面白いコトは言えなくても“ほう・れん・そう”が上手くこなせていれば面白いセッションは成立しましょう。
少なくともセッションをぶち壊しにしたり、最悪のタイミングで最悪のコトを言って場を白けさせる可能性は低くなります。
まだまだありますよ。
製造業でよく言われる“見える化”(*3)とか。
[miburo]
製造業は命や衛生とかに関わる分、かなり考えられた手法を使いますね。作業員の意識レベルをあげるのが困難ですが。
[Catshop]
TRPGで言えば、他のメンバーの意識レベル向上──ってトコロですかねぃ。
[Luna]
まぁ数をこなすのが一つの方法ではありますネェ。 < 何かを学ぶというか習得する
[miburo]
うん。慣れるのは慣れます
[Catshop]
「製造業から学ぶTRPG100の鉄則 ─ できる人はココが違う!」とか。(←ふっと思いついた)
[miburo]
うはは
[Luna]
製造業の皆さん、がんばってください。姉妹本として「営業職から学ぶ~」とか「中間管理職から~」なども(リリース予定なし)
[miburo]
ちらっと前に #もの書き で出てきた「勝つための状況判断学」(bk1からの購入リンク)は買ってみた。

  Amazonからの購入リンクはこちら

[Catshop]
どーでした? TRPGに役立ちそうでしたか?(ぉ
[miburo]
まだ全部読んでない(w
[Luna]
トヨタと日産だとどっちがいいのだろう
[miburo]
なにがです?
[Luna]
ビジネス本
うちのビジネススキル講師(の一人)は日産の社長をやけに押していたからなぁ
[sf]
再建とV字回復が凄かったからねえ。> 日産のゴーン
どうやって立て直すか、CEOがなにをするべきかという意味では大変参考になるかと思います
[miburo]
コンサル好みですな
[Catshop]
真面目にビジネス本として読むなら、両方を読み比べて自分の仕事に置き換えた上で捕らえる必要がありましょう。
[sf]
でも、どっちにしても大企業の戦略なので役に立てたいならもっと小さいほうが。
[Catshop]
あ、なるほど。確かにそれはご尤も。> 小さい方が

 

【この項のまとめ】

  • 「ほう・れん・そう」は大切だぞ
  • 数をこなすのもスキルアップの方法の一つだぞ
  • 日産のゴーンはコンサルタント好みの大逆転だぞ(←TRPGと関係ない)

【この項のもう一言】
 「ほう・れん・そう」のお話をもう少し。
 プレイの現場でも、これを全く意識してない人が多くて困ることがままありますよね。「そんなの当然、わかってくれてるもんだと思ってた」みたいな感じで。
 TRPGはコミュニケーションを通じてゲームが進んでいくものですから、このあたり気を使って遊ぶとトラブルも減りますし、もっと楽しく遊べるようになるんじゃないかと思います。

 

【この項の解説】
*2 ほう・れん・そう
 本文中でも言われている通り、報告・連絡・相談のこと。
 複数メンバーで仕事をする上での基本中の基本となる情報伝達を語呂よく略したもの。このとおりビジネス用語は得てして安直である。

*3 見える化
 読んで字のごとく目に見える形(模型,絵,図,表,文章)にすること。
 工場の作業でミスを減らすために問題の起こり易い作業の写真を取って図面の横に貼り付けおく,議論や会議の場で口先だけで話し合うのではなく、一つ一つの要素を模造紙なりホワイトボードなりに書き出していくことで視覚的にその場の全員が見ればわかる(=理解を共有できる)ようにするなど。
 TRPGの現場で言えば、なんといっても戦闘シーンのメタルフィギュアが代表だろう。(他にも『天羅万象 零』の合気チットや『輪廻戦記 Xenoscape』のスケープカードなど、今まで目に見えなかったものを見える形にすることでセッションの進行を盛り上げ,助けるシステムは少し前から増えている)

全体最適で良い仕事を最小コストでしよう

 ビジネス書の関連で話題が続いていきます。

 

[Luna]
まぁ興味のある業種とか企業のビジネス本からはいっていくのがいいのかもなぁ、とか
[sf]
そーですねえ。まあ沢山ありますからなー。ザ・ゴールのシリーズは面白かった。TOCの合理性は素晴らしい。
ただ、プロジェクトと言える規模でないと意味は無いことだけど
[miburo]
くう。握ったことないなぁ。俺にプロジェクトの次席参謀をやらせろー
[sf]
あれでTRPGに応用が効くのは、2巻のザ・ゴール2 思考プロセス(bk1からの購入リンク)

  Amazonからの購入リンクはこちら

 

[sf]
これの問題を解決するための思考プロセスはたいへん便利です。大いに活用しております
[miburo]
ふいんふいん。御大のプロセスは合理的だからなぁ
[sf]
TOCってのは要するに「部分最適を目指しても全体最適が得られないことがある」ので「キャッシュフローが最大になるように工夫せよ」というものです。
そのためにボトルネック(*4)の効率が最大になるようボトルネックの前にバッファを置く。製造ラインなら仕掛品,プロジェクトなら予備時間。そして「ボトルネック以外のところの効率を上げる必要はない」ということ。
効率を上げるためにコストが増えたりしたら、たとえ時間あたり生産効率が上がったとしても無駄であり、会社にとっては損害を与えていると。
[gombe]
ふうむ
[sf]
よく考えるとそのとおりというところでコロンブスの卵なんですよね。
[gombe]
全体効率こそ命、なのですね
[sf]
そーですね
エリヤフ・ゴールドラット著作リスト(bk1からの購入リンク)
[gombe]
布陣というか。
そう言う風に自覚しながら仕事したことは、残念ながらほとんどないなあ

 

【この項のまとめ】

  • ビジネス書籍は興味のある職種・業種のものから選んでみるといいぞ
  • TOCの思考プロセスがとっても合理的だぞ
  • 全体最適のためには、ボトルネックの効率を最大化するコトが鍵だぞ
    (それ以外のところでコストを使っても無駄になるんだぞ)
  • つまりボトルネックをまず探すところから最適化は始まるぞ

 

【この項のもう一言】
 このあたりはシナリオ作ったり、ゲームをデザインしたりする人向けの話題かもしれません。
 プレイヤーとして問題解決型のセッションに挑む場合にも参考になるかな?
あとD&Dなんかで、如何にパーティのリソースを最大限生かして儲けを最大化するか──なんて遊び方も楽しいかもしれません。

 

【この項の解説】
*4 ボトルネック
 一連の工程の中でそこが遅れれば後の工程が全て遅れるという世にも恐ろしい箇所。或いはその工程の最大容量を決めてしまうような箇所のこと。(後者の使い方はネットワークのトラフィックを指して言うコトが多い)
 ここでは前者の意味。
 ひっくり返した瓶から液体が一気には流れない(瓶の首で詰るため)様子を仕事やネットワーク上のデータが滞る様などに例えて言ったもの。

バッファ(*5)を作ってダレないセッションをしよう

 ここで話題の中心はザ・ゴールに移って行きます。

 

[sf]
ザ・ゴールの第1巻では、それは工場単位での生産効率の話でした。それを最大化するためには、最大生産効率を左右する部分を無駄にしないこと。そのためにどうするか。という話。
[gombe]
現場の人間にしてみれば「にげちゃだめだにげちゃだめだ」の方がなんぼか自分の尻を叩く力になる(ぉぃ
[sf]
個別にそういうので叩いても無駄というか。現場の人間がそれぞれ真面目にやったとしても起きる問題を解決できるわけです。
[gombe]
うん、自分を叩く場合以外にはあまり効果はない。
[sf]
事故や不具合は必ずあるわけで、それが全体の効率に影響するのはボトルネックが遊んでしまう時だけであると。
[gombe]
ふむ
[sf]
だから実はボトルネックに影響しない問題は些細な問題である。
でまあボトルネックに対する影響を軽減するためにボトルネックの前にバッファを作るわけです。
[gombe]
常に流れていないと効率が落ちる部分は常に万全に流せていないといけない、と言うわけか。MDの再生原理だ(w
[sf]
製造機械なら、前工程でなにかあっても最大復旧予測時間までボトルネックの作業が止まらないように、ボトルネックの前に半製品の在庫を置く。というわけです。
[gombe]
ふみふみ。
戦略的な部署の場合は「相手とよくしゃべれ」ってのは、よく言われるけどねー
[sf]
たったこれだけで、だいぶ生産効率は上がるらしいです。
[gombe]
生産に繋がる部分はそうだよねー

 

【この項のまとめ】

  • 「逃げちゃダメだ──」は本人には効果あるけど回りには効果が少ないぞ
  • ボトルネックの前にはバッファを置くといいぞ
  • ボトルネック以外は目を瞑ってもイケるぞ
  • そして「相手とよくしゃべれ」だぞ

 

【この項のもう一言】
 シナリオを組むときにダレてしまいがちな人は、このへんを参考にすると良いかもしれません。
 特にシーン制シナリオの場合にはシーン=工程と置き換えるだけで、そのままノウハウが活かせると思います。
 生産効率=セッションのテンポの良さ、という感じで。

 

【この項の解説】
*5 バッファ
 直訳すれば緩衝のこと。
 ここで使われている用法としては、前工程の遅れを吸収するための措置や仕組み,余分の時間を指して言っている。(例えば、前工程の仕掛品をある程度ストックしておくのは措置)

相手を理解すればWin-Win(*6)な結果も導ける

[sf]
第2巻は問題解決のための思考プロセスなわけですが。工場単位ではなく倉庫や市場なども含めた最適が必要であるという話。
そしてそれを、ビジネスに忙しくて疎外されたと思い離婚を考えさえした妻子との問題の解決にも応用するという話。
製造効率を求めて、ラインの組み替え回数を少なくして大量生産すると在庫が一括して増えるわけです。
それが倉庫にたまり、在庫が増え、財務状態が悪化する。
[gombe]
ふうむ(汗
[sf]
このへんわかりますかね
[gombe]
小出しにしないわけですな。
どかんと作ってしまうと。
[sf]
量産効率だけを考えるならまとめて作成したほうがいいけど、まとめて作成したものが市場でまとめて必要とされるわけではないので、品切れを防ぐためには切り替えタイミングが長い分だけ在庫を多めに保持する必要があるわけですね。
そして売れ行きは常に予測どおりではないため、売れずに余りつづける在庫が増え、しかも売れ筋の商品は在庫切れになって顧客が不満を抱くと。
[gombe]
ふむふむ > 顧客不満
そっちもあるんだな
[sf]
工場は最大の生産効率をめざし、倉庫は商品の確実な出荷を目指す。どちらも最適を追い求めた結果在庫が増えて資金繰りが悪化する。というしかけです。
[gombe]
ふむむ
[sf]
しかも顧客の必要なものが届かない。
[gombe]
夫婦の話に置き換えれば
どかんと仕事をすると、ストレスが小刻みに溜まらず一気に閾値まで上がって危険です(ぉ
と言う話か(乱暴なまとめ
[sf]
まあ妻子の話は、ちゃんと話を聞いて自分と相手との対立点を理解し分析し、前提を再検討することでWin-Winな結果を得るという方法論を実地適用する話でした。
[gombe]
前提を再検討し理解してもらうのが難しいのです(げふげふ
特にこじれた後の場合は(滅
[sf]
そのための図示しての検討方法とかがあるのです
でまあ工場と倉庫について、企業として全体を最適化すると。
生産効率を落してでも品切れの予測される製品を優先する。
倉庫は各地に中規模の倉庫を置くのではなく、工場側に大きめの倉庫を置いて、各地には小さめの倉庫で品揃えを豊富にし顧客に即座に届けられるようにする。
これは工場から倉庫、倉庫から顧客へのボトルネックをすくなくするため。
各地の倉庫へは売れたものだけを追加で補填して、工場の近くの倉庫で地域ごとの売れ行きの違いを吸収するというしかけ。
[gombe]
ふみふみ
TRPGで言えば、時間配分の話に繋がるんだろうなー。あるいは各プレイヤーへの応対時間配分とか。
[sf]
部分最適と全体最適のTRPG向けの話……キャラクターを個人個人が最適化するよりも、パーティ全体での最適化をしたほうが効果的だとか。そんなのもあるのだろうか。
[gombe]
それは感じることはあるねー
[sf]
チェンジ・ザ・ルール!(bk1からの購入リンク)
倉庫の在庫の話はこっちだったかもしれない

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【この項のまとめ】

    • 仕事のしすぎは離婚の元だぞ(違)
    • 交渉・調整の基本は「自分と相手の対立点を理解・分析・共有」してWin-Winな結果を得ることだぞ
    • 大量生産は顧客不満足の元だぞ

(例えば一人ひとりのプレイヤーに割く時間は一度にまとめてじゃなく細切れにすると暇な時間が少なく感じるぞ)

  • パーティの戦力も部分最適より全体最適なんだぞ

 

【この項のもう一言】
 このあたりもセッションのテンポに関わるお話ですね。
 あとセッションの現場でよく見られる「一方的なゴリ押しの交渉」なんかを解消するヒントも含まれてますね。「自分と相手との対立点を理解し分析し、前提を再検討することでWin-Winな結果を得る」ってあたり。
 この辺、うまくできるプレイヤーさんは回りからの評価も一枚上になってきます。

 

【この項の解説】
*6 Win-Win
 お互いハッピーというのと同じこと。
 要するに一方が敗者,他方が勝者というような勝敗関係ではなく、お互いに利益を得て勝利という如何にも都合の良い関係のこと。(もちろん、その陰では敗者になって泣いている人がいるのである)
 皮肉はともかく、よくよく前提条件を検討し、お互いの問題点や要求事項を突き合わせて見ればお互いにある程度の満足を得られる妥協点は見出せる事が多い。

プロジェクトの期間短縮の話なんかも

[sf]
クリティカルチェーン(bk1からの購入リンク)
製品開発プロジェクトにかかる時間の短縮のために応用する話。

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[gombe]
それは気になるなあ。参考にしよう。
[sf]
簡単に言えば……プロジェクトの各要素ごとに時間を見積もる時に、担当者は90%うまくいく時間で見積もってしまうけど。
それだと締切まで怠けてしまう,予定よりはやく終わっても次に引き継がれないので時間が無駄になる、などによりプロジェクト全体の消費時間が累算よりも大きくなってしまう。
これが予定通りにプロジェクトが実行できない理由である、と。
なるほど、言われてみればその通りというやつです。
セッションで言えば、各シーンや各段階の時間の見積もりを足した時間によって終了時間を予測すると予定より伸びてしまうことが多いというやつです。
[gombe]
試行錯誤も含むしねえ。> 実際のプロジェクトの時間
[sf]
解決策は、各要素ごとの予測時間を予想遂行率50%の時間で見積もる。
そして、それぞれの要素ごとに余った予備時間の総計をプロジェクト全体の最後に置く。
こうすることで、予定より長引く50%のプロジェクト要素での遅延はプロジェクト全体の予備時間により吸収されるわけです。
[gombe]
自社工程ならそれでいいんだけどねー。外注だと、予備時間を想定しないで工期見積もりさせることが多いな。
[sf]
問題なく終わった50%の分は、予備時間を消費しないと。
[gombe]
発注額に関わるからねえ。
かくして外注の苦しみが積もるばかり、と(滅
[sf]
そしてさらに複数の工程がある場合には、ボトルネックになる作業との合流点に予備時間を置く。
[gombe]
ふむ。そこで時間的にもバッファをとる、と。
[sf]
外注に予備時間を想定しないで発注するというのは発注元にとっては予備時間を想定しないだけですよね。発注された側は安全に終わらせられるように見積もるわけです。
そのあたりの対策もちゃんと織り込まれてます。
[gombe]
発注側は発注時の見積もりで終わるように期待するよね。
受注側でもそのように予備時間を織り込んで見積もるべし、という論法でいいのかな。
[sf]
受注側が90%成功を見込んで、予備時間を織り込んで「これこれかかります」とやると時間がかかるうえに伸びる公算が高いと。
[gombe]
うひ
[sf]
それにさらにバッファを適切に適用したら時間がかかりすぎる。
なので確実でなくても短い時間を(時間を短くする変わりに高く)約束させてこちらで吸収できるようにする。
[gombe]
ふうむ。テクだ。
[Luna]
なにやら難しい話がたくさんでましたが。
こういう話がうまくまとめられるといいんだろうなとか、思っています
[sf]
うみうみ

 

【この項のまとめ】

  • 各要素の時間見積りは短めにして、最後のバッファを長めにとるぞ
    (経験的に5分5分の見込みで終わるくらいの納期にしておいて、ボトルネックの直前やプロジェクトの最後のフェイズの前に長めのバッファを置くらしいぞ)
  • 複数の工程が並行する場合は合流地点でバッファを見積もるぞ
    (どちらかと言うとプレイヤー側のミッションクリアの行動計画に使うぞ)
  • 外注に仕事を出すときは最初から短い納期に高い対価で対応だぞ
    (同人誌の作成やグループでのシステム作成などに向くぞ)

 

【この項のもう一言】
 スケジュール管理のお話。これもシナリオ作成段階で時間オーバーを防ぐ時に使える方法論ですね。(或いは、シナリオ作成そのもののスケジュール管理に使った方がいいかもしれません(笑))
 ちなみにオリジナルのTRPGシステムを開発したい人やサークルで共同作業をされる方なんかも、この辺りを抑えておくだけでぐぐっと違ってくるかと思います。

 


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